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Aは１００Ｍ走で１位を取り、次は借り物競争。
全力でやれという了平の言葉が遠くで聞こえ、Aの体に力が入る。
「こっちでも頑張って１位取らなきゃなぁ。簡単なお題来ますように！」
切に願い、Aはスタートラインに立つ。
「よーい」
パンッ――スターターピストルの音が聞こえ、Aはお題が書いてある紙を手に取り、広げる。
「簡単なお題来い！！」
その願いははらはらと崩れ去っていく。
『風紀委員長の武器』
「ッ、誰だこの命知らずなお題書いたのーーッ！！！ 死人出るわ！！！」
そう叫びながらもAの足は本部にある風紀委員のテントに一直線だった。
「雲雀先輩」
「なに」
「トンファー貸してください」
「……」
「私、借り物競争してて、お題、先輩のトンファーで……わぷっ」
無言の雲雀に片言になりつつあったAに雲雀がトンファーを投げた。
「ありがとうございます！ １位もぎ取ってから返しに来ますね！」
笑顔でそう言うAはもう雲雀に対する感覚が完全に麻痺している。
「お題持ってきましたー！」
「君のお題ッ！？」
お題の紙と、Aが持つトンファーに実行委員がわかりやすく顔を青ざめた。
その表情に、Aはいやこのお題考えたの
「よし、１位取ったー！」
はしゃぐAに男子が癒されていたのも束の間、Aは借りたトンファーを返すために再び本部の方へと足を運んでいた。
「借り物競争も終わりましたし、やっとお昼ですね！」
「そうだね」
「今日のお弁当はちょっと張り切ったんですよ。草壁先輩に雲雀先輩の好物はすでにリサーチ済みなんで楽しみにしててくださいね」
雲雀は一瞬目を丸くした。てっきりAがいつも話題に出している友達のあの男と昼を食べるつもりだと思っていたから。
「雲雀先輩？ どうかしましたか？」
「……別に」
２人が出会って数か月。ようやく風が雲を動かした瞬間ではないだろうか。
首を傾げるAの腕を取り、風紀委員のテントの中へと入っていった。
空調が聞いており涼しい。おしゃぶりを隠すために長袖を着ていたAからすれば天国みたいな空間だった。
余談だが、借り物競争にあんな物騒なお題があったのは実はリボーンの仕業であった。
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作者名：うがつ | 作成日時：2022年9月18日 16時
