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いつもより少し大きめの弁当を持ってAは登校する。
体を動かすことが嫌いではないAはいつもより少々浮足立っていたのだ。
そんな子供らしい一面を見て周りの男子たちはソワソワしていたが、体育祭というイベントということもあり、やっぱり今日はソワソワしちゃうよね！ といつもは言わないような鈍感ぶりを見せていた。
「あんたもそういう一面あるのね……」
「何が？」
「何でもないわよ。それより、あんた長袖って暑くないの？」
「腕まくりはしてる！」
「そういう問題じゃないと思うんだけど……」
「でもあんまり焼けたくないから。私肌弱いんだよね」
「そう。熱中症には気をつけなさいよ？」
「うん」
尤もらしい理由を述べるが、実際問題暑い中Aが腕を捲っているとはいえ長袖でいるのは、彼女がおしゃぶりを首から下げているからだ。バレないためにはこの程度の我慢はしなくてはならない。
「おはようツナ」
「……おはよう、A」
いつも以上に反応が鈍いツナを見てAは首を傾げる。
「顔赤い……ごめんね、ちょっと触るよ」
そう言ってAはツナの額と首に手を触れる。少し熱いのを感じたAがぎょっと目を丸くする。
「熱あるんじゃないの、これ」
「……うん。３７．５℃あって」
「いや休もうよ！？ 保健室は！？」
「行ったけどだめで……」
「だめってどういう……あぁ……」
熱のある生徒を寝かせない保健室なんてあるわけないだろうと思ったAだったが、現在の保健室の養護教諭はシャマルだ。そうなってくると男であるツナが寝るベッドはない。
「えぇっと、どうしようかな……あ、冷却シート使う？ 熱中症対策に持ってきたんだけど」
「いいの？ なら使わせてもらおうかな」
Aはツナの首筋に冷却シートを貼り、額に凍らせたペットボトルを当てる。
「あとは脇の下と太ももの付け根がいいけど、どうする？ 貼る？」
「ううん。大分ラクになってきた」
「そう。よかった。日陰で私の応援してて！」
そう言って鉢巻を頭に巻き、Aはグラウンドの方へと走っていった。
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作者名：うがつ | 作成日時：2022年9月18日 16時
