お仕事 ページ29
ほとんど毎日昼に呼び出され枕にされる。そんな日常が当たり前になってきた頃。
その日もAは弁当と枕にされている間の暇つぶしのための小説を手に応接室に向かっていた。
「失礼しまー……え?」
入室の際の言葉を最後まで言い切れず、Aは思わず持っていた弁当と小説を落としそうになる。
Aが入ってきた時点で目の前に広がっていたのは死ぬ気になったツナがスリッパに変化した形状記憶カメレオンのレオンで雲雀の頭を叩いているところだった。
「ねぇ、殺していい?」
「だっ、だめ!! だめです雲雀先輩!!」
「A!? に、逃げて! オレらは大丈夫だから!!」
「い、や、そういうわけには!」
「……君の知り合い?」
「はい、友達です。だからそれ以上咬み殺すのは……」
雲雀の目をしっかりと見つめ、Aは答える。これでだめだったらツナと雲雀の間に入ることも考えていた。
だが、それは杞憂に終わる。
「ふぅん。今日はこれで見逃してあげるよ。次はないからね」
「よかった……。というわけでツナ」
「う、うん」
最後まで言わずとも通じる。「早く二人を起こして出ていけ」ということを。この場にいたら直接的に言わずとも誰だって通じるだろう。
Aが山本の肩を揺すり、目を覚ました山本に簡潔にこの場の状況を説明する。
「――というわけだから、早めにこの部屋から出ていった方がいいと思う」
気絶する前のことを思い出したのか、山本は急いで立ち上がる。
獄寺はもう一戦交える気満々だったが、ツナの必死の訴えで渋々出ていくことを了承した。
「Aは?」
「あー、私はここに約束があって来てるから。諸々の説明は後でメールするよ」
「わ、わかった。頑張って、ね?」
疑問符を浮かべながらも応援するツナに大丈夫と言う意味を込めてひらひらと手を振り、扉を閉めた。
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時