家庭科実習 ページ24
「知らない番号?」
朝、身支度をしていたAがテーブルの上に置いてあった自分の携帯が震えていることに気づく。
"知らない番号"とは言ったが、そもそもAの携帯に入っている番号はツナだけである。
こんな朝にいったい誰だろう、なんて思いながら電話に出る。
「もしもし」
『やあ』
聞いたことのある低い声。それはまさしく雲雀恭弥の声そのものだった。
悲鳴のようなものを上げそうになって堪える。
「何で番号知ってるんですか。教えてないはずなんですけど」
『僕だからね』
いつの日か聞いた雲雀らしい答えに気力がゴリゴリ削がれていくのを感じるA。
ため息を飲み込んで要件は何か問う。
『僕甘いの好きじゃないから』
「え?」
『言ったからね』
「いやっ、雲雀先輩!? ちょっと!?」
そう叫ぶが意味はない。すでにAの携帯からは機械的な音しか鳴っていないのだから。
(甘いの好きじゃないってなんだ? 何の話を……あっもしかして)
身支度を再開しながら思考を巡らせていたAに浮かんだのは家庭科の実習のこと。
「確かにケーキ作るけども! 寄越せってことか!」
自由すぎる雲雀に頭を悩ませながらもAはエプロンを持って家を出た。
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時