テスト返却と最低教師 ページ21
今日の授業は定期テストの返却だった。
神のお陰もあって特にテストの点数の心配をしていないAは授業をしっかり聞くだけで範囲内のワークを解く以外の予習復習はしなかったがテストはスラスラ解くことが出来た。
テストの答案は出席番号順に返されていく。つまりAの前にツナのテストが返されるということだ。
教師の根津にボロクソに言われるツナを見て、Aはふつふつと怒りを沸かせていた。
自分の番になり、根津が満点を取ったAを褒めようとしたが、Aは一切の話を聞かずに根津の手元から答案用紙を引っ手繰る。
「なっ」
「何ですか？ 点数取ってる私は先生に何か言われる筋合いはありませんが」
「教師に向かってそういう態度は」
「生徒によって個別に態度を変えるような教師には相応の態度を取ってもいいと思うのですが、気を悪くしたのなら謝ります。すみません」
謝罪の言葉を口にしているものの、眉間に皴は寄っているし、目はジッと根津を睨んでいるように見える。……控えめに言っても謝罪している人間の表情には見えない。
「……君のような人物が沢田のようなクズに付き合うのは時間の無駄だ」
「時間の無駄かそうでないかくらい見極められるので大丈夫です。強いて言うならばこの時間が無駄ですね」
根津がそれ以上何かを言おうとしたが、Aは踵を返して自分の席に戻る。どこかイライラしているが、ツナがAの方に振り替えるとすぐにその表情は和らいだ。
「なんか、ごめん」
「何が？ さっきのなら全然大丈夫だよ。むしろさっきの言い合いにツナを出して申し訳ないっていうか……」
「そっちの方が大丈夫だから！」
ツナが手をブンブンと振りながら言えばAはそっかと申し訳なさそうな顔をしつつも、口角を少し開けた。
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作者名：うがつ | 作成日時：2022年9月18日 16時
