改めてよろしくね ページ16
「これで終わりかな。他に痛いところはない？」
「ありがとう！」
「どういたしまして」
最後の絆創膏を貼り、ツナは笑顔でお礼を言う。この頃にはもう、ツナはAに緊張しなくなっていた。
「下風さん、他の人ともあんまり話していないみたいだったからどんな人かわからなかったけど、すごく優しい人なんだね。何だかオレ、誤解してたみたい」
優しい人、と言われたAは少しだけ照れ臭くなってしまい、誤魔化すように笑った。
「あ、笑った。そっちの方がいいよ」
「え？」
「下風さん、笑うと優しい雰囲気がすごく出るから、笑っている方がいいと思う！ オレなんかと違ってたくさん友達が出来るんじゃないかな？」
「そう……かな」
「うん」
きっと無意識なんだろうが、こうも素直に褒められては顔が赤くなってしまうというもの。
顔に集まる熱を冷ますようにひらひらと手で仰ぐが、中々顔の熱は引かない。赤くなったAの顔を見てツナは自分が何を言ったかを理解し、同じように顔を赤くした。
「い、いきなりでびっくりしたけど、沢田君が笹川さんのこと好きなの知ってるから。大丈夫」
「ええええっ！？」
ツナの悲鳴ともとれるような叫びにAはくすくすと笑う。
「私後ろの席だし、何となくわかってたよ。沢田君の視線の先、笹川さんなことが多いし。笹川さん可愛いもんね」
これといった言い訳も浮かばず、口をぱくぱくさせているとまたAは笑う。
「言いふらしたりなんかしないから安心してよ」
「ほ、ほんと？」
「うん、ほんと。あ、私掃除の途中だったんだった。みんなのこと待たせてるからもう戻らないと。またね、沢田――」
「ツナでいいよ。みんなオレのことツナって呼ぶし……」
「！ ……うん！ じゃあ私のこともAでいいよ。また明日ね、ツナ」
「う、うん！ A！」
軽く手を振り、保健室を出ていくA。その翌日からだ。２人がよく話すようになったのは。
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作者名：うがつ | 作成日時：2022年9月18日 16時
