恋と愛と依存【轟焦凍】 (ページ5)

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『お風呂ありがとうございました。』

お風呂を出るとタオルで髪を拭きながらリビングにいるショートに声をかける。

「ちょっとこっち来い。」

手招きされソファの方へ向かうとソファに座るショートの前に座らされる。
なんだろうと思っていると耳元でドライヤーの音がしてその風は私の濡れた髪の毛を揺らす。
ショートが手ぐしで髪をとかしながら私の髪の毛を乾かしてくれている。

「あんなところで、あの荷物ってことは家出か…？」

『んー、そんなとこですね』

「そうか。」

この人との会話は全然続かない。
それでも、空気を壊すように何個か質問を投げかけられる。

当たり障りのない話ばかりだが何故だかこの人の声は心地よく眠気を誘う。

「乾いたぞ」

ウトウトしていると頭の上から優しい声が降りかかって少し眠気が覚める。

「お前…って呼ぶのもなんか他人行儀すぎるな。名前はなんて言うんだ？」

『Aです。』

「Aか、Aは明日からどうするか決めてるのか？」

『いや、特には…』

「ないのなら、もう少し家にいればいい。」

『でも、それは彼女さんにも申し訳ないですし…』

「彼女…？」

『お風呂に女物のシャンプーがあったので…』

「あぁ、あれはCMの時のだな」

『CM？』

「女物のシャンプーのCMに出演したらもらった」

『な、なるほど…』

「だから、彼女はいない」

でも…と俯きながら返す言葉を考える。

「家事はできるか？」

『ま、まあ一通りは…』

「じゃあ、家事をしてくれ。そしたら気を使わなくて済むだろう。」

うまく丸め込まれた気はするけど、無理矢理出て行く理由もない。
もう少しだけ甘えてしまおうかな。

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