345 ページ22
(2023年)
(DK side)
宿舎に帰ってくると、ベランダから小さく声が聞こえて。近寄ればジョシュアとキーが2人で話していた。声を掛けようかと思ったけれど、何だか神妙な面持ちだったし、僕に気付いたジョシュアがシーッとナイショであるとジェスチャーする。
そっと窓を少しだけ開けて、2人の会話を聞いていれば胸をギュッと掴まれたような、そしてなんともいえない悲しい気持ちになった。
僕とキーが釣り合わない、だなんて。周りが決めることじゃないだろう。ベランダに2人が戻ってくる少し前、ジョシュアは豪快にキーの頭を撫でていて。僕ってば、キーのことになるととことんダメになるよなぁ。メンバーにすら嫉妬しちゃうなんて。
JS「じゃあね。おやすみ、キーヤ、ドギョマ」
DK「うん。ヒョンも」
『オッパ、ありがと！おやすみなさい』
手をヒラヒラと振って去るジョシュアを玄関まで見送る。扉が閉まって中に戻ろうかとすれば、行こうとする僕の服の袖をキーが掴む。
『どこから聞いてた…？』
DK「うーん…、わりと、最初？」
やってしまったとでも言うような表情をして見せるキーはとても愛おしい。僕がクスクス笑うのを嫌がるように、今度は拗ねた表情を見せる。そして、そっと僕に抱きついて。普段は僕の方からそういうことをすることが多いし、キーからのそれにビックリして手が行き場を失う。
『昨日、ドギョミに会えなかったでしょ』
DK「うん。僕が終わるの遅かったから」
『昨日も、今日も、ずっと…会いたかった』
キーはどちらかと言えば愛情表現が下手だと思う。特に僕に対して。恥ずかしがり屋だとまとめてしまえばそうなのかもしれない。本人は恋愛経験が少ないから、だとも言っていて、普段“好き“どころか、“会いたい“ということを口にすることも無い。まぁ、それ以上に毎日会うからというのもあるけど。
そんなキーが僕に抱きついて、『会いたかった』と言っている。明日には地球がひっくり返っているんじゃないか、なんて冗談は置いといて。
DK「僕も、ずっと会いたかったよ。昨日電話したかったけど、休憩中に電話しようとしたらマネージャーヒョン達からキーさんはまだ収録中ですって言われて。その後もタイミング合わなかったから電話も出来なかったし」
『うん、わたしも。…でも声聞いたら泣いちゃうかもと思って……』
顔を上げたキーの瞳にはジワジワと涙が溜まっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1009人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚紀
| 作成日時：2022年12月26日 11時
