何も出来ないならせめて ページ43
朝、クザンから電伝虫があった
急に、W7にAを迎えに行けという内容で
「やっぱり何かあったんですかィ？あいつに」
「《いや、俺にも分からないが朝から元気無くてねェ。それに、最近なんかおかしいってガープさんも言っててな。
何か調べもんしたりしてるらしいよ》」
「…何を」
「《何までかは分からんが、俺たちにも言えない事なんじゃねェか？やっぱりって事はスモーカー、お前もなんも聞いてないんだろ？》」
「えェ、昨日は何回かけても連絡つかなかったんでね」
「《そうか。まァ何があるかは分からねェが…お前の顔見たら元気出るでしょ。デキてんだろ？お前ら》」
「っな…」
「《A見てたらわかるさ。まァ、そういう事だから。側にいてやってよ。じゃァな》」
「…何やってんだ、あいつは」
ガチャと切れた電伝虫に受話器を置いて、はァと大きく煙を吐き出した
それからW7に向かっている途中、Aからセントポプラへの応援要請が入ったと連絡がありそちらに向かった
現場に着くとかなりの悲惨な状況で、いくらなんでもここまでやる奴じゃないと一瞬で分かったが案の定Aは何も言わず、それにあからさまにスモーカーを避けるような態度だったので何かあったのだと理解した
そして顔を見ればやっぱり泣いていて
昨日の嫌な予感は当たってたかとAの涙を拭うと、無理して大丈夫だと笑う
何も出来ない自分に腹が立ったが待つしかねェと、Aを信ることにした
その後は、クザンとたしぎによりこの島に連れてこられ、仕方ないと半日ほど街を二人で回っていたが、元気そうな反面時々泣きそうな顔をしていたり。
自分でも自覚しているようで、もどかしい気持ちもあるが口を出さないようにした
「(Aも多少は切り替えて休暇を楽しんでんだろう。俺も俺で久しぶりの休暇らしい休暇だ。少しはゆっくりするか)」
外のベンチで目を閉じ寛いでいると、パタパタとスリッパの音がして目を開けるとAが後ろから覗き込んできた
あァ、また泣いてやがったな。目が赤い
「寝てるの？」
「いや、休憩だ」
「ちょっと寒くない？」
「そうだな…来るか？」
「うん」
スモーカーの足の間に座り膝を抱えもたれかかるA
触れている箇所がだんだん暖かくて丁度いい
柔らかい、少し癖のあるAの髪を梳く
嗅ぎなれた落ち着く葉巻の香りに安堵する
「「ふわァ…」」
同じタイミングで欠伸が出て2人して笑った
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月16日 15時
