正義の名のもとに ページ38
真後ろにはあのロブ・ルッチが立っている
カクの言い方だとまだまだ目覚めなさそうな雰囲気だったのに
Aはキッとカクを睨んで、とりあえずルッチから距離を取った
「うそつき！」
「いや、まさかもう目が覚めとったとわ」
「そう言うな、A。ここで会えたのも運命、そうだろう？」
「ぎゃははは！こいつ本当にAの前だけはいかれやがるな！」
本当にその通りで。だから余計苦手なのだ
素早く腰を抱いてくるルッチを精一杯押し返すが、病み上がりのくせに頑丈で動かない
もう早く去りたいと逃げ出す方法を考えていると、何やら町が騒がしくなってきた
見に行くとこの島に海賊が来たらしく町の人々が逃げ回っている
「チッ。雑魚どもが邪魔をしてくれたな」
「この町には借りがあるからのお。いっちょうやってくるか」
根本的には彼らは正義を背負っている
海賊は悪。
今政府自体に追われているのにまだその正義を示すなんて。と少し驚いた
それでもやっぱりルッチの異様さは格別で
海賊団の船長はもうひどい有様だった
これも1つの正義というものかと、転がっている海賊に同情した
異様な程の男達に一気にガランとした町並み
もうここにはいられないと、全員集まると色々準備をし始めた
「…私がこいつら海軍に引渡しとくから」
「…俺達を逃がすのか？」
「今後一切私に関わらないならね」
「それは約束できんな」
嫌いならば、今すぐ密告して一網打尽にしてしまえばいいのにAはそれをしなかった
それがなぜだか自分でも分からないが、気が変わらないうちに行けと言えば、ルッチは最後に頭を撫でて、彼らは海賊の船に乗りこんで出航していった
「はぁ。せっかくの気分転換が台無しだ」
電伝虫で本部に連絡を取り応援を呼んだ
少しして軍艦が到着し海賊たちの身柄を海兵たちが回収していくのを見ていた
生きているのか死 んでいるのか。
私がやったのかという海兵の目線に気付かないふりをしておいた
ルッチは去り際に、自分たちがやったと言えと言い残していった
追われる彼らを売るか。ならなんの為に引き受けたのか
もう聞かれた時の気分でいいやと、ぼーっと現場を眺めた
「ずいぶんな荒れようじゃねェか。お前がやったのか」
「ぇ…」
さっそく聞かれた事より、その声に固まった
「電伝虫も出ねェでふらふらこんなとこで何してやがる、A」
会いたくて会いたくなかったスモーカーが立っていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月16日 15時
