会いたくて ページ23
日も暮れたマリンフォードの街をふらふら歩く
別に悪酔いはしていないのに、苦しい胸を抑えた
なぜこんなにダメージを受けているのか
スモーカーの事が好きな人なんて他に居たっておかしくないのに。
あの子がすごく可愛かったから？スモーカーさんがあの子の事を好きになってしまうかもしれないから？
醜い嫉妬心が頭を支配する
最近やっと自覚したこの気持ちには、厄介なオマケもついてくるのかと大きくため息をついた
「あら？A？」
「あ、たしぎちゃん！」
「こんな所で…1人ですか？」
「う、うん…ご飯食べてたの。たしぎちゃんはこれから？」
たしぎは数名の海兵達と食事に行くらしい。何やらお祝いだと。
「たしぎさん、"少尉"に昇格されたんです！」
「っえ、そうなの！？おめでとう！！」
「、ありがとうございますっ！」
「だから朝から本部に居たのかぁ」
「あれ？知っていたんですか？」
「あっ…う、うん。見かけて…」
「声かけてくれればいいのに…」
「い、急いでて」
最近よく墓穴を掘るなと自分で思いながら、ふと思い出す
「スモーカーさんも？」
「そうですよ！"准将"になられました！」
「そうなんだっ…」
「誘ったんですが、用があるって。まだ本部におられると思うけど…そういえばAの事も探してたんですよ？部屋に居なかったって」
「っ…」
「早く行ってあげてください！」
優しく微笑んで言うたしぎは、どこまで知っているのか。
きっと長い付き合いだから、なんとなく分かってるのかな、なんて考えながらありがとうと言い足早に本部へ向かった
「やっぱあの2人ってそうなんすか？」
「ふふっ、どうなんでしょうかね？」
先に言っちゃったな。ごめんなさいスモーカーさん。とたしぎは苦笑いして、お店への道を歩いた
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「はあっ、部屋にいるのかな…」
少し走って帰ってきたので自室の前に来ると息を整えドアノブに手をかけた
ついさっきまで沈んでいたのに会えると思うと胸が高鳴る
ガチャリ
やけに響く音は、誰もいない部屋を余計に寂しく思わせた
「…もう、帰っちゃったのかな…」
もしかしてたしぎ達に合流して、もしかしてあの子達とも合流して…
嫌な妄想が思考を支配していく
部屋に少し残る葉巻の香りが、ふわっと鼻を掠めた
「帰ってきたんなら電気ぐらいつけろ、バカ」
そして強く、香りに巻かれた
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月16日 15時
