上が上なら下も下 ページ14
-マリンフォード-
日が暮れたかけた街は、家の明かりや街灯が灯り、帰宅する海兵や飲みに行く人々がちらほら歩いていた
1隻の軍艦が港に到着し海兵たちが降りて来る中、ひっそりとオリス広場を足早に通り抜ける者が一人
その足は海軍本部に向いていた
正面入口にいる警備兵にシーっと指を口に当てながら通り過ぎると、またか…とため息をつかれたが気にせず中に入った
「(そこの角を曲がればっ…)
本部内をさっさと通り抜け自室までの曲がり角まできて、
そして曲がった瞬間目の前が壁になった
いや……足？
「あららら。どこ行ってたの、お嬢さん」
「ぅわ〜…えーっとぉ…」
「はァ。その様子じゃァ俺が1番最初に見つけたっぽいねェ。ラッキーじゃない」
「それは…私がラッキーって事OK？」
「どんだけポジティブよ。まァ、そっちのラッキーでもあるかね。俺も人の事言えないから」
「確かに」
「調子乗んじゃァないよ」
「あいたっ」
ツンっとおでこを押され額を抑える
絶対に怒られると思ったがさすがAの直属の上司だ
だてにだらけきった正義を背負ってるだけある
だが今はそれがかなりの救いだった
「サカズキさんだったら多分私今頃溶けてる」
「そりゃそうよ。俺までとばっちり来ちゃうんだからやめなさいよホント」
「でも結局明日怒られるんだろうなぁ…トウガラシチップスだけじゃ誤魔化せないかな？」
「子供じゃないんだから…」
クザンとコソコソ話しながら自室の前まで向かい、ワイロ気味にお土産を渡すと、こりゃどーもと頭を書きながら来た道を戻って行ったので部屋に入った
「はぁー。疲れたな」
荷物を下ろしソファーに寝転ぶと、どっと疲れが体にのしかかってきた
電気のついていない部屋で暗い天井をぼーっと見ながらあの事を思い出す
「鬼神の血…」
重罪を犯し世界政府に滅ぼされた一族
初めて聞いた名前だ
なぜそんな関係もない事が自分の夢に出てくるのか
目覚めろとはどういう事なのか
Aに何を訴えかけているのか
だがあの泉に触れてから、何か、体の奥底でドクドクと脈打つような感覚におかされていた
「自分が自分じゃないような……っやだやだ今は考えるのやめよ！」
この気持ち悪さを振り払うため、起き上がり部屋を出て道場に向かい無心で刀を振った
この感覚は、過去に3度も起こっていたがそれをAは知らないでいた
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月16日 15時
