▼ ページ32
*
「これで良し……と」
待ちに待った約束の日曜日。俺は柄にもなく、鏡の前で服装や髪型をチェックしていた。服に関しては鬼道や豪炎寺に選ぶのを手伝ってもらったので、安心だ。(円堂にも助言を貰ったのだが、二人に却下されまくっていた。あいつのセンスはユニークすぎる)
彼女との久しぶりのデートは、少しばかり、緊張する。でもそれは嫌な緊張ではない。
試合をする直前の時に感じるような、これから起きることに対してワクワクする、心地よい緊張だ。
最高の1日にしよう。俺は期待と興奮で胸を躍らせながら、待ち合わせの場所に向かった。
予定の15分前に待ち合わせ場所の駅前に到着した。ちょっと早く来すぎたかなと思ったが、既にAはそこに居た。
「……あれ？」
ごめん、待ったか？(これは一度言ってみたかった台詞だ)と声をかけようとしたとき、彼女が誰かと話をしていることに気がついた。
背の低い、人当たりの良さそうなお婆ちゃんだった。知り合いか、それとも道でも聞かれたのか。
「A、お待たせ。その方は？」
「あ、風丸くん！今ね、お婆ちゃんにすごい物を紹介してもらってたの！幸福の壺だって！！」
「……へ？」
目が点になる、開いた口がふさがらない、とは正にこのことだ。そんな漫画みたいなセールスが本当にあったのか。
「なんか隕石の欠片？でできているらしくて、これを持ってる人は宇宙からパワーをもらえて、皆幸せになれるんだって！」
Aは頬を上気させて、どう考えても怪しすぎる商品について力説した。お婆ちゃんもにこにこしながら彼女の言葉に頷いている。
俺は盛大にため息をついた。天然天然だとは分かっていたが、ここまで人を疑うということを知らないとは。もはや呆れを通り越して、面白くさえある。
「あのな……A。たとえその壺とやらのおかげで幸せになったとして、それでいいのか？自分で努力して掴んだものが、本当の幸福じゃないのか？」
「！」
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» 私も杳覇さんが大好きです〜〜〜！！（号泣）鬱陶しいなんてとんでもないです！これからも気が向いたら気軽にコメントしちゃってください！続編の方でもどうぞよろしくお願いします！(*´∀｀*) (2020年5月16日 18時) (
レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 豪炎寺くんが最初っから最後までカッコ良すぎる大好きですこのお話！！！ひえええ次回最終回！？ううっ…楽しみに待ってます(´；ω；`) 短期間で三度目のコメントすみません…！！鬱陶しくなったらいくらでも無視して下さって構いませんので！！チェレステさん大好きd(( (2020年5月14日 20時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» あああ二度もコメントをしてくださりありがとうございます！！とても励みになります(号泣)貴方様のような素敵な読者に楽しでもらえるような執筆を目指してこれからも頑張ります！！どうぞよろしくお願いします！！！ (2020年5月14日 11時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - ああああ豪炎寺くんすでに最高っ…！！すみません感情が昂ってしまい思わずコメントしてしまいました……！！続きが凄く楽しみです！！ずっと応援しています！！ (2020年5月12日 22時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» まだ見てくださっている方がいらっしゃったとは…！！！感謝感激です！！ありがとうございます更新頑張ります！！！ (2020年5月9日 10時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チェレステ | 作成日時：2018年6月11日 21時
