【BL オリジナル】間違えても愛 (ページ29)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:6,901 hit

想いページ29

＿＿＿＿＿

”真面目でおとなしい”

"気取ったところがなくて、几帳面”

相川について聞くと、誰もがそう答える。学業もかなり優秀で、教授からの評価も高いようだった。

悠太に言われた言葉の意味は釈然としない。

あの後、悠太は頑なに相川の話題を避けた。俺が話の方向を向けると、やんわりと逸していく。

結局悠太からは何も聞けずじまいだ。

ここまで分からないと、もう本当に忘れるしかないのか、と思ってしまう。だが心の何処かで、”一夜の過ち”で終わらせたくないと呟く自分もいるのだった。

大学内を歩いていても、どこかに相川の姿がないか探してしまう。

女子たちが相川の話をしていると、聞き耳を立ててしまう。

忘れられるはずがない。

『もういいじゃないか、忘れろって言われたんなら忘れればいい。』

以前の俺なら、早々に記憶を捨て去っているに違いない。

でも、無理だ＿＿＿

今更どうしようもないのに、相川に惹かれている自分に気づいた。

ゲイではないはず、でも相川は特別だ。

思えば最初からだったのか...、相川の姿を見たときから、おかしな胸の高鳴りを感じていた。

綺麗だ、と素直にそう思った。

物腰柔らかく、暖かくて、どことなく憂いを帯びた表情＿＿＿

あの夜は、ただの酒の過ちではない。

俺自身が、相川が欲しかった。その美しい体に触れてみたかった。

そんな、どうしようもない俺のエゴが相川を組み敷いていた。

下からいじらしく俺を見上げたあの目を、よく覚えている。

酔で○んだその藍色の瞳＿＿

「.....忘れられるわけねぇだろ」

相川に会いたい。

はっきりと、そう思った。

＿＿＿＿