混乱 ページ28
＿＿＿
「多くは言えねぇ...でもやめとけ。傷つくのはお前だからな。」
「なんだよ、それ.....」
目を伏せた悠太の顔からは、上手く心情が汲み取れない。一体どういうことだ。
「悠太！次の講義始まるぞ！」
向こうから声がして、ぱっと悠太が顔を上げる。
「おう今行く！...俺行くわ、じゃあな！」
「っおい...！」
ひらりと手を振った悠太の顔は、いつも通りだったがあっという間に去っていってしまった。
少し事が分かってきたと思ったのに、また色んな疑問が浮かんでくる。
悠太といい、相川といい、訳ありなのは察しがついた。しかし、なぜ悠太はあんなにも相川に詳しいのだろうか。もともと交友関係の広い奴ではあるが、それだけではない気がする...。
悠太のあんな思い詰めた顔、初めて見た。
俺が見た相川は、悠太の目にはどう写っていたのだろうか。
俺には物腰柔らかく、丁寧な、優しい性格に思えた。
でもそれは違うのか...？
”傷つくのはお前だからな”
一種の警告のようだ。
俺が相川と関わることで、傷つく...？それは肉体的なことではなく、精神的なことだろう。
なぜそんなことを...。
相川はゲイだった。それと関係があるのか？
一人座って考え込めば考え込むほど、様々な疑問が浮かび、解決の糸口がまるで見つからない。
「くそっ...なんなんだよ...」
今はここにいても意味がない、
懐疑に満たされる頭を、無理矢理持ち上げるようにして席を立った。
何度目か分からないため息をついてから、どこへ行くわけでもなく俺は教室を出た。
＿＿＿＿
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作者名：涼 | 作成日時：2019年6月23日 23時
