【BL オリジナル】間違えても愛 (ページ23)

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寂寥ページ23

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ガチャリとドアが閉まる音で目が覚めた。

重いまぶたをゆっくり開くと、見慣れない天井がある。

隣には、誰も寝ていない枕。

あぁ、そうか＿＿

まだ少し温かさが残る枕に触れ、昨夜のことを思い出した。

軋む体を無理やり起こし、手を伸ばしてベッドサイドテーブルに置かれた自分の携帯を見る。

時刻は6時40分。起きるのには少し早いが、目が覚めてしまったからには支度を始めなくては。

はぁ.....と息をつき携帯を閉じた。

ゆっくりベッドから抜け出て、床に散らばった服を着る。

部屋の簡易洗面台で顔を洗い、適当に髪を整えた。ふと、腹に違和感を感じる。

そうだ、中に＿＿

一度着た服を脱ぎ、小さなシャワースペースで中に出されたものを掻き出した。どろっとした白濁が、水にまじり流れていく。

その様を、埋めようのない寂寥感と共に見つめた。

どうせなら全身洗ってしまおうと思い、ざっと身体を流す。

タオルで体を拭き、昨夜のままの服に腕を通した。

ふと、鏡に疲れた自分の顔が映る。

「こんなの、いつもと変わらないじゃないか。」

声に出してそう喋りかけた。

酒の勢いで乱れた行為も、一人残される明け方のベッドも、行為後の処理も、言い難い虚しさも＿＿

「全部、同じじゃないか...」

そう、全て僕の日常の一部。

悲しかろうが、嬉しかろうが、その行為に愛なんて無い。今まで、ずっとそうだったじゃないか。

彼だって、加賀宮一輝だって同じ。

僕の腐った日常の一部にしか過ぎない。何の変わりもなく過ぎていく日々の一部だ。

それがどうした。

彼はきっと今頃後悔しているんだろう。なら黒歴史にでもしておけばいい。汚点にでも、何にでもすればいい。

今まで山ほどいただろう、興味本位で抱いてくる奴は。

ただ思ってしまった、彼は違うって。一輝さんは他のやつとは違うんじゃないかって、思ってしまったんだ。

でもいま僕は一人、ホテルの一室に残されていつもどおり一人の朝を迎えている。

＿＿僕も忘れる、彼も忘れる。

それでいい、それが普通だ。彼ならまたすぐ日常が取り戻せる。

きっと、ここで僕の側にいたら駄目なのかもしれない。

無かったことにして顔を合わせないのが、僕のように間違えない方法だ。

なら彼は僕とは違う。間違えなかった人だ。

とっくのとうに間違えている僕に、愛なんてもの、無いんだよ。

「愛なんてもの...」

与えてもらえないんだ。