対象 ページ16
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きゃっきゃと騒ぐ女子たちを尻目に一輝さんは、はぁ...とうんざりした顔をした。やっぱり。
「おい!一輝にばっか構うなよ、俺らの相手もしろって!」
奥の席から悠太がそう言う。ごめーんと言いながら女子たちは一輝さんから視線を離した。
分かりやすいな、と思う。褒められれば喜んで、放っておかれると嫉妬する、女子同士仲良くやっているかと思えば、人知れず敵対していたり。忙しいものだ。
自分が女子に興味が無いとわかったのは、中学2年の頃だった。
告白されて、NOという理由もないので中学の頃は、色々と付き合ってきたが、決まっていつも、つまらなかった。
”瀬成くん、私のことほんとに好きなの?”
色んな人によく言われた。別に好きでも嫌いでもない、何の感情も抱かなかった。
そんなある日、教室で男子が集まって何やら盛り上がっているのを見た。
何だと思って近寄ってみると、スマホに映し出されている動画を見入っている。
__それは男同士の交わり、だった。
「こんなもんあんだぜ?!」と興味半分、冷やかし半分で見ていたのだった。
僕は初めて見たそれに、なぜかドキッとした。
あれは女と男がやるものだろう、なぜ男同士で...。
初めて見た衝撃的なそれに、自分の中でどう解釈したらいいのか分からなかった。自分自身がそれにひどく興味を持っていたから、なおのこと。
その時に悟った。
自分は男が好きなんだと。
今まで女性にまるで興味が湧かなかったのも、納得できる。ただ、自分でそれを受け入れるのには時間がかかった。
まるで、いけない事のような気がしていて__
昔のことを思い出し、ぐっと酒を飲んだ。酒は強い方ではないから、あまり酔わないようにチューハイにしている。
ふっと横の彼へ目をやった。
彼も彼で、水割りの焼酎を勢い良く喉へ流し込んでいる。グラスの中身を飲み干すと、どこを見るわけでもなく、ずっと黙っていた。
__そろそろ、話しかけようか。
「お酒のペース早いですね。」
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作者名:涼 | 作成日時:2019年6月23日 23時