前とは違う ページ36
・
ーーその後、どちらからとも無くふたりで歩き出した私たちは、無事に江戸へと帰って来た…その次の日。
京では沢山の事があったけれど、私達の生活も、関係性も、何ら変わった訳では無い。強いて言うならば、心持ち、と言ったところか。
「じゃあ、今度は一週間くらいかな」
「分かった。いい加減アンタも仕事したら?」
「それは約束できないな」
また宇宙へと旅立つ神威を今日も見送る。私とて、この後は屯所に行くけれど。久々の隊務だし、早めに行きたいところだ。
「阿伏兎がお気の毒過ぎる……あ、もう行った方がいいんじゃない?私もそろそろ出るし」
「一週間夫に会えなくなるんだよ?急かすなんて酷い奥さんだなぁ」
「……そんなに急かしてないっての!じゃあなんて言えば満足な訳!?」
わざわざ“夫”だとか“奥さん”だとかを強調してくる辺り、本当にコイツは意地が悪い。私がムキになってしまうのも分かっているくせに。
だから私の返答も予想通りだったのだろう。神威は待っていましたと言わんばかりに、私の耳元に唇を寄せて。
「行ってらっしゃいのキス、とか」
ーーなんて、囁いてくるものだから。
「……っ!…、さっさと行け!バ神威ィィィ!!!」
羞恥で赤く染った頬を見られないように隠しながら、おどけたように笑ってみせる神威に、精一杯拳を突き出したのだった。
少し前の、何でもない日常に戻って来たような、麗らかな朝。だけどそこに居る私たちの関係は、名前こそ変わらないのに、前とは確実に違うもの。
1325人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頑張ってください - ああああああああ久々に読んだら進んでてまた神威熱が… (2020年1月6日 1時) (レス) id: ac6d87c707 (このIDを非表示/違反報告)
自己満者 - 京篇凄い良くて、泣いちゃいました(笑)更新頑張って下さい! (2019年8月17日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - むくさん» コメントありがとうございます。時間をかけて丁寧に書いたシーンなのでそう言っていただけるととても光栄です!これからもよろしくお願い致します。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 765bdcb728 (このIDを非表示/違反報告)
むく(プロフ) - 求婚シーンめっちゃ好きです〜!! (2019年5月25日 23時) (レス) id: 3bb4d6b7d5 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 匿名さん» 初めまして!そう言っていただけてとても嬉しいです。神威くんのイケメン台詞は割と心の声の方が潜んでいたりします笑これからもよろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d60993068d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2019年1月8日 17時