【銀魂】せーりゃくけっこん°

決意の乙女 ページ3

・







ーーどうしよう。

まさかのオーケーが出てしまった。完全に出ない前提で、「だよね、無理だよねー」って言うつもり満々だったのに。






「(……ぶっちゃけ、ちょっと嬉しいけど)」






私が行きたくなかったのは、気持ち的な面というより、本当に仕事に穴を開けすぎている事が大きい。

あとは普通に恥ずかしすぎるというか、まだ自分の気持ちに素直になれないから。祝われるのがこそばゆいのだ。


…だから、神威が旅行を拒否しなかった事は、やっぱり嬉しかったりする。



そうして傍から見たらさぞアホ面だと貶されそうなくらいに、頬を緩めていると、ふと前に旦那に相談したときのことが蘇ってきて。






ーー彼奴に告れ。






…告白、なんて。
自分の気持ちを包み隠さず、神威に伝えるなんて。






「…無理無理無理無理無理無理」






やっぱり、出来ない、私には。覚悟も何も無い、こんな弱い私には。
けれど旦那に言われせてみれば、こんなのも、全部言い訳なんだろう。ちょっと腹をくくればできる筈なのに、しない。未だに怖がっている。






「…お京さんの時も、そうだったのに」






私には、近藤さんみたいに当たって砕けても想い続ける覚悟は無いし、土方さんや総悟みたいに、素直になれなくても、いざという時に体を張れる強さも無い。







「(…だったら私は、一体何の為に今を生きているんだろう)」






強く、侍らしく生きる為じゃ無かっただろうか。だからこそ、結婚するのは嫌だったし、あんなに藻�惜いていた。その中で、“神威”という失いたくないようなそんな存在が出来てしまって。

ーー揺らいでいる。今までになく、私の心は揺れている。






「(…だからこそ、)」






自分で決めて、自分でカタをつけねばならないと思う。


告白なんて、そんな格好の良い、大層なことは出来ないと思う。ただ、己の心の内を吐露するだけの、何でもない時間になると思う。

ーーそれでも、





「(…こうして、決意して行くだけで、何か変わるかも知れない)」

誘惑も謀反も有り得ない→←ムカつく

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す