奇跡 ページ36
『』=A
あの時付き合っていた彼氏が有名人だった。その事実が今の俺をどれだけ驚かせているのか、Aは分かっているのだろうか。
『あの人チャラそうな見た目してるやろ？』
「してるね」
『でも見た目じゃ図れへん部分が沢山あんねん。毎年琴葉の命日には必ず花束が送られてきてて、優弥がお供えしてるみたい。野球に対してもクソ真面目やし、調子悪い時は死 にたいとか言い出すからこっちも焦んのよ！』
大学時代、Aに彼氏ができた。確実に中学の雰囲気だと思い込んでいたから、Aが自分以外の男のもとで可愛い笑顔を見せていると考えるだけでも苦しかった。
ほんのり煙草の匂いを漂わせた時、彼氏が……、と沈んだ。Aに好かれようとしてかっこつけたけど、俺には決して合わなかった。1本しか吸わずに残りを徹也に上げたんだっけ。
「ことは？ 誰それ、友達？」
『友達……？』
ざわくんが素っ頓狂な発言をする。
『私琴葉と友達やったのかな？』
そっか、ざわくんは知らないのか。
「友達じゃないでしょ？ 片割れでしょ？」
『そうやわ片割れや』
「片割れ？ 双子！？」
『うん、双子。生きてたら全く同じ顔がもう1つあってんなあ……』
寂しそうに外を眺めるAはやっぱり儚い。でも普通の生活の中で琴葉さんの話ができるようになったのは進歩だ。
「一卵性か……」
『そうそう、ざわくんは理解が早いねえ』
「バカにしとるだろ！」
『んふふ。でもまあ、遥輝くんとの関係は琴葉が繋いだもんやったから、私の中で大切やねんな。
……やからさ、亮にアプローチされへんかったら、私、東海オンエアにおらんかったと思う』
苦しくて、何度もこの恋を辞めてしまいたいと弱音を吐いた。……吐いたけど辞められなかった。
趣味が悪いけど、その人との恋が破綻するのを願ってアプローチを続けた。でもAへの片思いの悲しみも苦しみも、Aがいるから乗り越えられた。Aへの失恋を和らげる心の拠り所はA。
『自分の意思で好きになったのがね、うん』
「ちゃんと言ってよ」
『いじわる……』
「なんだよ、惚気か！」
「惚気けてねえよ。事実」
「くそ！！！」
どんな女と話してもAには敵わない。人生を懸けて守りたい人と出会い、結ばれた奇跡をこれからも大切にしたい。
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みゆし(プロフ) - 最近読ませて頂いてます！パスコードを教えて欲しいです🙇♀️これからも素敵なお話楽しみにしてます (2月11日 11時) (
レス) @page40 id: b2f1dffa53 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説の更新待っています！ (2019年12月14日 1時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - rioyamakawaさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります〜！ (2019年7月23日 10時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説占ツクの中で1番好きです！！これからも更新楽しみにしています！！！ (2019年7月17日 11時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - たむさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります！！！ (2019年6月30日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年6月27日 22時
