恋バナ ページ31
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「Aちゃん、今日こそは恋バナを……」
「やだ」
東海オンエアの男たちは恋バナが大好きだ。暇さえあれば過去の恋愛や今の彼女、理想の女性のタイプの話をしている。
「なんで!」
「逆になんで夫そこにおるのに過去の恋愛話さなあかんの!」
今日もまた、ざわくんがカメラを回しながら私に恋愛を語るように催促する。カメラに映らない場所でりょうの目が笑っていない。
「りょうくんが嫉妬したら僕がシバくから」
「絶対無理やろ。体格差考えて」
何がなんでも話してほしい。今日のざわくんからは強い意志が伝わる。怖いなあ、家に帰ってどんな仕打ちに遭うのだろう……
「僕聞きたいもん。Aちゃんの大学時代の彼氏の話」
「ああ……」
遥輝くんか……
過去の恋愛といっても私の彼氏はりょうとあと1人しかいない。その1人こそが当時日本ハムの若手だった遥輝くんだった。
つい最近仕事で再会してからダラダラとLINEを続けている。本当にどうでもいい話からトレーニングの評価まで、トーク画面には遥輝くんの鍛え上げられた筋肉の写真が沢山送られてきた。
「確か僕と同い歳で千葉で寮生活してた人だったよね」
「うん。うちの兄の友達でもある」
「え、そうだったの?」
「そうだよ。あと大学時代に付き合ってたけど、お互い高校生の時に付き合ってた時期もあるよ?」
初めて出会ったのは私が中3、遥輝くんが高1だった。当時1年生ながら甲子園で活躍し、怪我をしながらも懸命に打ち、懸命に走る彼は同世代の星だった。
そんな彼に突然告白されたのは私が16歳になる少し前の夏だった。兄と一緒に帰ってきた日の、涼しげな夜。
「私身長高いやん?」
「……突然自慢しないで」
「違う違う!」
遥輝くんは180cmで高身長だ。細マッチョでイケメンで、誰が見たってモデルみたいにスタイルがいい。
でも私が170の高身長だから遥輝くんの良さを生かせない。デートする機会があるとヒールなんて履けないから、お互いカジュアルな格好で色んな所を出歩いた。
繋いでくれる手はいつも、豆や潰れた豆を保護する絆創膏でゴツゴツしていた。
「思い出のデートとかないの?」
「……バッティングセンターで2時間みっちり打撃練習したことかな」
私も遥輝くんも負けず嫌いだから対決の時には熱くなりまくっていた。
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みゆし(プロフ) - 最近読ませて頂いてます!パスコードを教えて欲しいです🙇♀️これからも素敵なお話楽しみにしてます (2月11日 11時) (レス) @page40 id: b2f1dffa53 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説の更新待っています! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - rioyamakawaさん» ありがとうございます(;;) これからも頑張ります〜! (2019年7月23日 10時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説占ツクの中で1番好きです!!これからも更新楽しみにしています!!! (2019年7月17日 11時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - たむさん» ありがとうございます(;;) これからも頑張ります!!! (2019年6月30日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年6月27日 22時