♯ ページ4
.
『無理！！ てめえら頑張れよ！！』
小さな、本当に小さな小競り合いが2人としばゆー以外のグループLINEの中で繰り広げられる中、2人は荷物をまとめている。
「俺達明日1限からだから帰るわ」
「分かった。亮もAも気を付けろよ？」
「うん！ また明後日ね」
「はーい」
同じようなニットを着た2人の背中を眺めていると、
「ほら、手」
暗がりの中で亮が控えめにリードする。
「え、いいよ。そばにおるもん」
「遠慮しなくていいから！」
「してへんっ」
「繋ぐから手を開いて！！」
「やだ、開かん！！」
何、この痴話喧嘩。付き合いたてのカップルかよ。
……カップル？
ガシャン、とドアが閉まるとともに急に胸の動悸が早くなった。
リビングに戻るとしばゆーとざわくんと夢丸が楽しそうにニヤニヤしている。
「……亮くん分かりやすすぎん？ あれはどう見ても、あれやん」
「恋！ 絶対に恋だ！」
「びっくりするぐらい分かりやすいね」
恋。夢丸の楽しそうなその言葉が心の中でストンと落ちた。そうか、恋だ……
亮が、天然女たらしで有名な亮が……、確実に落ちている。違和感の理由はそれだ。
「でも亮ちん必死こいてて可愛かったね」
「それな。イケメンだから女なんて簡単に落とせるのに」
「……俺、あんな亮知らんぞ！！」
一応高校時代からの仲だ。あいつの恋愛事情は誰よりも知っているつもり。
でも目からハートが飛び出そうなほど、1人の女の子を好きになったあいつは知らない。気になるとかそんな野暮なレベルじゃなかった。
「そうか？ 亮はAに対してだけはあんな感じだら？」
「そうなん？」
俊光があいつら中学時代両想いだったからなあ、と懐かしそうに、どこか寂しそうに呟く。そっか、Aは大阪生まれだけど中学は岡崎だから……、って……
「ええ！？ そうなの！？」
俺も驚きたかったのに、ざわくんが声を裏返して叫ぶから驚けんかった。
「俺はまだ亮から何も聞いとらんけど、あいつらこの前の成人式が卒業以来初めてやったからな。多分亮は惚れ直したんじゃねえの」
めっちゃ綺麗だったし、と俊光はまた寂しそうに笑った。
「うん、俺も亮ちんに聞いた。きっぱりAが好きって言ってたよ」
それからしばらく、亮とAの中学時代を俊光が教えてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 385人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゆし(プロフ) - 最近読ませて頂いてます！パスコードを教えて欲しいです🙇♀️これからも素敵なお話楽しみにしてます (2月11日 11時) (
レス) @page40 id: b2f1dffa53 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説の更新待っています！ (2019年12月14日 1時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - rioyamakawaさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります〜！ (2019年7月23日 10時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説占ツクの中で1番好きです！！これからも更新楽しみにしています！！！ (2019年7月17日 11時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - たむさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります！！！ (2019年6月30日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年6月27日 22時
