青空の愛

ついに ページ26

.


自分はまだ恋してるんだなあ……
いや、久々にファラオじゃない彼を見ているから？
そんな戸惑いと胸の高鳴りでワクワクした。



「和装もいいもんだね」


「やろ？」


今日は結婚式の前撮りをする。式本番はタキシードとドレスの予定だから、前撮りは袴と赤と黒の色打掛で撮ることにした。


「理絵ちゃんが和装やったって聞いて私もやってみたかったんだ」


早いもので入籍から半年が経とうとしている。色んなこと(主に十字架)があったけれど、無事に今日を迎えられたことを嬉しく思う。



「マジで良かった。前撮りにファラオは残したくなかった」


「それでも良かったかもよ？」


「まだ麻痺ってる？」


一般的に前撮りは2ヶ月前には終えた方がいいと聞く。でもその時期に撮ると亮はファラオで収まらなくてはいけなくて、十字架が終わってすぐの晴れた日に撮ろうと話がついた。

一生残るものだ。お互い清々しい気持ちで写りたい。



「今の俺を見て」


「わっ！」


大きな手が私の顔を包む。切れ長の瞳が潤んでいるのは気のせいだろうか。



「俺と結婚してくれてありがとう。Aのおかげで毎日頑張れてるよ」


「私も、亮と結婚して、良かったよ……？」


真っ直ぐに見つめられたら、途切れ途切れにしか言葉が出てこない。



「いつになるか分からんけど、子供が生まれてもすっとAを愛してる」


つい最近元彼に再会し、心が揺さぶられた。

でもやっぱり私が惚れているのは亮だ。私の人生には亮しかいない。世界を敵に回してもこの人を愛したい。



「Aを1番に愛してるよ」


女を誑かすと有名だった。実際私も誑かされた。中学時代から今までずっと。知らないことばかりだった。亮が一途だと、付き合ってみなければ分からなかった。



「私、亮に愛されていいの……？」


「愛されてよ。死ぬまでずーっと」


男にしては華奢なようでがっちりとした胸、腕に包まれた。今、私は最高に幸せだと胸を張れる。



「私も、亮のこと死ぬまで愛してる」


腕を回す。普段は恥ずかしくて言えない言葉も今なら素直に伝えられる。



「私と出会ってくれてありがとう。選んでくれてありがとう」


「こちらこそ、選んでくれてありがとう」


これからも幸せが続きますように。

パシャパシャと切られるシャッター音はBGMのようになにげなく流れていった。

最強→←♯

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す