青空の愛

一生忘れない ページ24

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「A、終わりだよ！ やっと終わる！！！」


「3ヶ月間よく頑張ったねえ……、お疲れ様！！」


「ありがとう！！！」


スピーカー越しにやたらテンションが高い彼。10月22日火曜日、りょうの3ヶ月ファラオ生活がようやく終わる。

新婚早々旦那がウォーリーになったりファラオになったり、きっと私達しか経験できない生活を送っていると思う。私が知る限り、こんな夫婦は聞いたことがない。



「明日は夕方豊橋駅でいいんだよね？」


「うん」


「バッキバキにおしゃれしてくる」


「目立たんようにね？」


「はーい」


「じゃあそろそろ行ってくる。副音声楽しみにしとってね！」


「うん！ 亀梨さんと西川選手に惚れたらダメだからねー」


惚れないよ。滅多に言わないけど亮が1番だし。そうじゃなかったら結婚してへんし。そんなことを思いながら打ち合わせのために副音声のブースの中へ入った。

幕張での事務所のイベントが終わってからも、1日のオフを挟んで東京での仕事がある。他のメンバーが岡崎に帰る中で、今回私に与えられた仕事はまさかまさかのプロ野球日本シリーズの副音声ゲストだった。



「北海道日本ハムファイターズの西川遥輝です」


「東海オンエアのAです。今日はよろしくお願いします」


うおおお、目の前にプロ野球選手がおる……
めっちゃチャラいけど面影が残ってるなあ……
なーんてテンションになれたらよかったのに。



「お前白々しい」


「そっちこそスカしちゃって調子乗ってんのちゃいますか？」


西川遥輝選手といえば高校生の時から有名で、関西で知らない人はいないと言っても過言ではない。一般的にはかっこよくて女性ファンも多く、結婚したい、と憧れる子も多いのだろう。



「はあ！？ 失礼なやっちゃな！」


「ほんまうるさい。黙ってたらまともやのに」


でもしみじみ思う。もったいないと。実は私、私が中3、彼が高1の時から友達だったりする。



「Aって絶対俺のことかっこいいとは言わへんよな……。なんでなん？」


「遥輝くん、自分の胸に手を当ててよく考えてみてよ」


「はあ？」


「遥輝くんは亀梨さんに勝てるとでも思っとるん？」


歳は1年違いだ。先輩後輩の間柄やし私は出身も高校も大阪、遥輝くんは和歌山。交流はなさそうに見える。

でもこれが、あるんだなあ。

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