♯ ページ20
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どれくらいいただろうか。泣き止んだ頃には空は青からオレンジへ移ろうとしていた。
「……っ、ごめん、泣きすぎた」
目は腫れてしまった。でもスッキリとした表情に生まれ変わっている。
「いいよ。どんだけ泣いてもいいんだよ」
「そんなに優しくしんで。甘えちゃう……」
「甘えていいじゃん」
Aは充分に頑張っている。16年もの間、寂しさに耐え、琴葉さんの分まで勉強も仕事も頑張った。きっと琴葉さんの魂と一緒に生きてきた意識があるんだと思う。
「ねえ、亮」
「ん？」
「今から一緒に来てほしい所があんねん……」
そう言ってAは再び声を震わせ、指を絡ませた。
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歩いて5分。見通しの良い、ガードレールのある歩道にたどり着く。
児童館の近くの道路の一角には花束やスナック菓子、缶やペットボトル、紙パックのジュースがいくつか置かれていた。
「ここでね、琴葉が亡くなったの……」
悔しそうに、寂しそうに涙を流すA。
「毎年ここに沢山の人がお供えしてくれるの」
今年はいつにも増して備えてあるな、とAは涙ながらにカバンの中から紙袋を取り出して、お供え物を入れていく。
「あれ、坂元？」
「あら、トシキくん……とアリサ？」
「久々やな。
……初めてちゃう？ ここで会ったの」
優しく微笑んだトシキくんとやらは、アリサさんと呼ばれる女性と赤ちゃんを連れていた。
2人はひまわりの花をAに渡し、俺を見て物言いたげに驚きながらも軽く礼をしてしばし道路に手を合わせた。
「琴葉ちゃん亡くなってからもう16年になったんやね……」
「せやね……。今年も来てくれてありがとう」
そう言ってAは頭を上げた2人に結婚と出産おめでとう、と微笑んだ。
「いや、まじでビックリしてる。トシキくんとアリサが結婚したのは聞いてたけど、子供おったなんて……」
「2ヶ月前に生まれたの」
3人の関係は分からない。でもここに来るということは同級生なのかな、と想像できた。
「琴葉ちゃん、喜んでくれてるかな」
トシキくんが心配そうに空を眺める。
「喜んでると思う」
自信たっぷりに返したA。2人の表情が微かに和らいだ。
「Aも頑張ってね」
「おん。そっちもね！」
またね、とトシキくんとアリサさんは仲睦まじく手を繋いだ。
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みゆし(プロフ) - 最近読ませて頂いてます！パスコードを教えて欲しいです🙇♀️これからも素敵なお話楽しみにしてます (2月11日 11時) (
レス) @page40 id: b2f1dffa53 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説の更新待っています！ (2019年12月14日 1時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - rioyamakawaさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります〜！ (2019年7月23日 10時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説占ツクの中で1番好きです！！これからも更新楽しみにしています！！！ (2019年7月17日 11時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - たむさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります！！！ (2019年6月30日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年6月27日 22時
