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三十九話 ページ9

思わず驚愕の声をあげ、鍾離殿を見つめてしまう。
彼はこちらに指示を出すように視線をむけ、しばらくは黙って話を聞くようにと釘を刺された。

事の発端であり全ての元凶が、原因究明に乗り出すなんて前代未聞だ。


「岩王帝君は仙人たちの祖だが、仙人の一人だ。璃月数千年の歴史を見ていくと、仙人が去っていく傾向は紛れもない事実としてある。」

…………これ遠回しに私が責められてるとかない?
いや、甘雨や煙緋の親の話もあるし、現に三眼五顕仙人である削月や理水、留雲や魈も人里を離れて暮らしている。魈はちょっと違うかもしれないが。

「なぜなら時代が変わったからだ。絶雲の間を訪れた時、そういう変化をお前たちも感じただろう。」

「確かに、仙人たちは璃月を離れている。」

「見ての通り、仙人の時代は遠ざかりつつあり、人の時代こそが徐々に現実となりつつあるんだ。
昔、仙人が去ると盛大な儀式が執り行われていた。それが璃月の伝統だ。しかし、今回の件については七星までもがその伝統を蔑ろにしている…見ていられない。」

…………それが、鍾離殿の言っていた引退の真意なのだろう。
岩神としてこの国を守っていくべきか。それとも、全てを人の意思や思いに任せ、この国を手放すか。
もはや仙人というのは遠い昔に消え掛かっているものばかりで、その鱗片が微かに感じられるだけ。
全てを人に任せ、自らは安らかに隠居したい気分なのだろうか。

まぁ、その伝統を蔑ろにする事件の発端を作ったのは貴方なんですけどね。
と言いたげな目線を鍾離殿に送っていれば咳払いをされた。すいません。

「神殺し事件…それについて「往生堂」は気になどしていない。「往生堂」が気にしているのは、仙人を迎える迎仙儀式が盛大に行われている反面、去った仙人を送る送仙儀式が放置されている。
旅人よ、「公子」殿からお前のことを聞いた。お前は風神の友人なのだろう…俺と共に、岩神を送る儀式の準備をしてくれないか?」

言いたいこと、聞きたいことが多々ある中、とんとん拍子にことが進んでいくのを、私はただ茶を啜って聞いていくだけに留めた。
話の最中、公子がずっとこちらを見ていたのをなんとなく煩わしいなぁと思いながら。

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ノア(プロフ) - まっでまじだ!! (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: 7cc6cd9634 (このIDを非表示/違反報告)
ぐへへへへ - あばばば好きすぎます!!お体お気をつけてください!続き楽しみにしてます!! (2022年9月14日 1時) (レス) @page32 id: 55d4558f37 (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます!お忙しいでしょうが頑張ってください! (2022年9月2日 0時) (レス) @page32 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - すっごい好みなものを見つけてしまった…!夢主ちゃんかっこよすぎる!!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月22日 11時) (レス) @page32 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 本当に面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年6月15日 8時) (レス) @page30 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりまろ。 x他1人 | 作成日時:2021年6月10日 13時

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