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六十二話 ページ36

「あっ!効果あったぞ!このまま抑えていれば…。」


パイモンの喜ぶ声が耳に届いた。

もう殆ど、目など使い物にならないのだろう。仙術と瞳の両立は私の体にはきっと合っていない。ふらつく足取りで、なんとか体のバランスを保った。
強いて言えば、全体に円形のぼかしがかかったかのようだ。光の輪郭とでもいうのだろうか。とにかく視界がぼやけて、まともに思考も行動も読み取れない。

「魈、今、どうなって──────────。」

そこまで口を動かしかけたその時だ。




ぼやけた視界ですら理解できる光の強さ。オセルの神力がさらに高まっているのをこの肌で直に感じた。
ぞくりと、寒気にも似た悍ましさが虫の様に背後を這いずった様な気がして、確実に雨ではない水分が体表から溢れた。

「みんな逃げて!!早く────ッ!!!!!」


そう叫んだ時には時既に遅し。




オセルから放たれた光線は無数の流星となって帰終機へと落ちてくる。
その衝撃から、帰終機の土台に亀裂が入り、次第にそれは大きくなっていった。

「魈!理水!削月!留雲!みんなを助けて、お願い…!!」

このままでは遥か上空から全員落ちかねない。魈がすぐさま飛び立ったのを見計らい、私も救出の手助けを───────と、足を踏み出したが、その先に力が入ることはなく、まるで釣糸の切れた人形のように、私の足はがくりと倒れ、私は地面にしゃがみ込んだ。

体は寒さと激痛に悲鳴をあげており、尋常ではない震えが巡っていた。
とっくに限界を迎えていたのだ。

這いずれば、なんとか力にはなれるかもしれない。だが、満足に体の動かない状況で助けようなどお荷物にも程がある。確実に私の方が足を引っ張るだろう。
歯痒いが、今はみんなが千岩軍や空達を助けてくれていることに甘えるしかなかった。

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ノア(プロフ) - まっでまじだ!! (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: 7cc6cd9634 (このIDを非表示/違反報告)
ぐへへへへ - あばばば好きすぎます!!お体お気をつけてください!続き楽しみにしてます!! (2022年9月14日 1時) (レス) @page32 id: 55d4558f37 (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます!お忙しいでしょうが頑張ってください! (2022年9月2日 0時) (レス) @page32 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - すっごい好みなものを見つけてしまった…!夢主ちゃんかっこよすぎる!!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月22日 11時) (レス) @page32 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 本当に面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年6月15日 8時) (レス) @page30 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりまろ。 x他1人 | 作成日時:2021年6月10日 13時

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