五十九話 ページ31
「千岩軍は水銃を優先して倒してください!刻晴は理水の乗る帰終機近くから来るファデュイの対応を…!
留雲!オセルの左から四つめの首を狙って撃って!そのうちに削月は一番左の──────」
ぼわん、と、熱を帯びる眼球に、瞼の内側が焼かれるような感覚を覚える。
全出力を解放したのはきっと魔神戦争以来だろう。今までも度々使っていたとはいえど、やはり長く使い続けて仕舞えばその瞳に負荷がかかるのは当たり前。
泣き腫らした後のような瞳の痛さと、頭に訴えかかる倦怠感。絶えず戦況を見続けるのは不可能でないにしても、流石に苦痛だ。
それでも、千岩軍からひしひしと伝わる闘志や七星から感じるこの国を守るという強い意志は、ここで瞳を閉じてはならないと強く訴えかけてくる。
目の熱に耐えかねて瞳を抑えた時、魈が繋いだ手をもう一度強く握り返した。
「大丈夫か。」
珍しく心配するような声色がなんだかおかしく聞こえて、脂汗が滲んでいるにも関わらずくすりと笑ってしまった。
きっとひどい顔をしているだろう。それでも「まだやれることはあるから。」と伝えると、魈はその眼を戦場の場へと戻した。
─────キラッ
一瞬の光をこの目が捉えた時には、行動を移すのが遅すぎた。
──────────パァンッッッ!!!
水面に巨大な何かを叩き付けたように弾けた強い音と、眼球に痛みを通り越して与えられた熱。
衝撃に脳が震え、体の重心が仰け反り、ぐわんと揺れる。
辛うじて残った片眼が見たのは、今にも泣きそうな甘雨の瞳が大きく見開かれた焦燥の顔。仙人達が振り返りざまに大きく開いた瞳。音に気を引かれ、こちらを向いた刻晴と空やパイモンの眼差し。
繋いだ手が解けた魈の言い表せない焦りと怒りの混ざった驚愕の顔。
686人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「原神」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノア(プロフ) - まっでまじだ!! (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: 7cc6cd9634 (このIDを非表示/違反報告)
ぐへへへへ - あばばば好きすぎます!!お体お気をつけてください!続き楽しみにしてます!! (2022年9月14日 1時) (レス) @page32 id: 55d4558f37 (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます!お忙しいでしょうが頑張ってください! (2022年9月2日 0時) (レス) @page32 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - すっごい好みなものを見つけてしまった…!夢主ちゃんかっこよすぎる!!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月22日 11時) (レス) @page32 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 本当に面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年6月15日 8時) (レス) @page30 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とりまろ。 x他1人 | 作成日時:2021年6月10日 13時