四十五話 ページ15
「おや?お客さん、そう言った知識もお持ちとは。助かります。」
「先入観を交えず論じただけだ。それに必ず買うという約束もせず、こちらはサンプルを要求している…これは実に不公平だ。璃月の「契約」は、公平こそが基本だからな。」
鍾離殿の尤もな意見に正直、私の話はいらなかったんじゃあないかという気持ちでいっぱいだが、まぁ、構わないか。
サンプルを受け取り、いざ、どこで茹でるかという話だが。
「先生〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
いっそのことサンプルを料理鍋で煮てしまうか、なんて物騒なことを考えていれば、聞き覚えのある声と容姿がこちらに向かって走ってきた。
勿論、見間違えるはずもない。呼び声の主は私の助手だ。
「どうしたんだい、そんなに慌てて。」
「先生が前に言っていたことについて、目星がついたので報告にと。」
やけに息を切らしてまで私のところに飛び出してきたのは、それだけその事態は深刻ということなのだろうか。
とにかく、息を切らして苦しそうな助手の背を撫でながら、空達の方へと向き直る。
「ごめんよ。空、パイモン。それから、鍾離殿。
私はここで別れる。少し、個人的に調べたいものが出てきてしまったみたいだ。」
パイモンや空が不思議そうな表情を浮かべる中、鍾離殿だけはそれを理解しているのか静かに頷いた。
「あぁ、構わない。忙しい中、こうして付き合わせて悪かった。」
「いいえ。私こそ、本来なら手伝うべきなのに私情で抜け出してしまう事態を招いて申し訳ありません。」
鍾離殿とは他にも話し合うべきことが多くあるはずなのに、それをできないままこうして去ってしまうのはなんだかもったいないようにも感じる。
それを察したのか、鍾離殿は私の頭をわしゃわしゃと撫でて軽く笑った。
別れを惜しんでいることがバレたのがなんとなく気恥ずかしく感じて、鍾離殿に頭を撫でられるまま、空に話題を移す。
「空、パイモン。鍾離殿は少々癖のある方だけど、信頼に値する方だ。きっと私より頼りになる。
だから安心──────────わぁっ。」
褒めたことに機嫌が良くなったのか、鍾離殿が頭を撫でる力を少し強めた気がした。
……子供じゃないから、頭を撫でられるのはちょっとアレなんだけどな…。
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ノア(プロフ) - まっでまじだ!! (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: 7cc6cd9634 (このIDを非表示/違反報告)
ぐへへへへ - あばばば好きすぎます!!お体お気をつけてください!続き楽しみにしてます!! (2022年9月14日 1時) (レス) @page32 id: 55d4558f37 (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます!お忙しいでしょうが頑張ってください! (2022年9月2日 0時) (レス) @page32 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - すっごい好みなものを見つけてしまった…!夢主ちゃんかっこよすぎる!!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月22日 11時) (レス) @page32 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 本当に面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年6月15日 8時) (レス) @page30 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 x他1人 | 作成日時:2021年6月10日 13時