くまさん(病)@3

@108(大) ページ8

安が帰ってきたかと思えば、村上くんも一緒で、体調は大丈夫なのか。それだけがとにかく気になった。

しばらくすると村上くんからの長々と謝罪の言葉が始まったのだけど、体調不良はお前のせいじゃないと、全て自分が悪い。だから気にするな。と。そんな事を言われても気になるし、間違いなく俺のせいだ。俺のせいで村上くんも、すばるくんも、安も、みんな。

気づけば村上くんの謝罪も終わってて、反応を返事をとは考えるが声が出ない。
やっと出た言葉は「大丈夫やで、」の一言。もう何の返事なのかも分からなくて、とにかくあの日の家での風景がグルグル頭を回る。

すると、ふわっと体が軽くなり、ボフッと何かに倒れた。まぁ、ベットから降りてないんだ、ベットだろう。

安の声と、村上くんの声と、自分の少し荒い呼吸。

「ナースコール！」と叫ぶ安の声で、明日の練習を思い出した。

今ナースコール押してもおたら入院なんかになるかもしれへん、

「あかん、大丈夫、、、」
どうしても練習も、リハも、仕事には穴を開けたくなかった。必死になって安の手を掴む。

「あかんて、あかんのは大倉やで。何考えてんの、呼吸しんどくなってからじゃ遅いねん、分かってる？？」

「そやで、大倉、大丈夫やない。ちょっと見てもらうだけやから、な？」

村上くんも、安も俺の手を掴みながら眉間に皺を寄せて説得体制。

「俺は、俺にはもう仕事しかないねん、やらせてよ、、ちょっと疲れただけやん、休んだら治るから、お願いやから、明日の練習いかな、、ライブ成功させたいねん、、」

村上くんも安も難しい顔をして、本気できつくなったら絶対に言え。と少し怒り気味に言われた。


そうこうしているうちに看護師さんが来て、体温やら問診やらして、無理しない事を条件にとりあえず、今日は帰っていいことになった。

「じゃ、信ちゃん、大倉は俺が送ってくから、明日の練習の時、またね〜！」
そう言いながらタクシーに俺と安は乗り込み、手を振った。村上くんも少し心配な顔はしてたが、手を振りながら分かれた。

安と何気ない話をしながら家に向かい、家に着くと、玄関前まで送ろうか？なんて、いつまでも心配してる安を引き剥がしてまた、明日と手を振った。

家に着くと、当たり前に静かで、自分の言ったただいまが家の中に吸い込まれていく。
この独りが怖くて寂しかった。

リビングに行きソファに座ると同時に眠気が来て、気づけばそのまま眠りについていた。

お詫び→←@107(安)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す