くまさん(病)@3

@107(安) ページ7

大倉の病室の前に着くと中から咳き込む声が聞こえる。
コンコン。信ちゃんも心配な顔をしてこちらを見てくるが、俺だって分からない。

「、、けほ、はい。どうぞ。」

またこいつ、咳我慢しよって。
そう思いながらドアを開けると信ちゃんは部屋にはいるなり、「大倉？？大丈夫か！！苦しいんか！！」なんて、そんな勢いで噛みつかれ大倉も困るやろ。そう思い大倉をみると

「あ、村上くん。なんでここにおるん？」

なんて、ふふっと笑ってそない焦ってどうしたん。と、何事も無いように言う。

「お前、今苦しそうに咳しとったやないか。」

「、、？あ、ただむせただけやってwむせるくらい許したってや。」

ははっと笑って、なぁ、と俺を見る大倉。

こうやってると、本当に、なんともないんじゃないか。と思えてきてしまう。この笑顔が嘘だなんて全く思わないし、メンタル面だって、普通にアイドルやって、みんなの人気者で、毎日笑ってる様な。そんな、幸せな人にしか見えない。

でも、きっとそう思ってしまうって事は、大倉はもう、僕たちを騙す事を決めたんだな。と、今なら気づいてしまう。

「やすぅ〜？どしたん？そない難しい顔して、どっか痛い？？？」

痛いのはあなたでしょ。って責めたってきっとまた、笑って誤魔化すんやろな。「なんでもないで〜？」と言うほかなくて、それでも大倉は「そう？なんかあったら絶対言うてや？」と心配そうに首を傾げる。

「何かあったら言うのはお前や。ほんまに体調、今わ悪ないんやな？」

信ちゃんがコーヒーを渡しながら大倉に聞くと大倉は「もぉ、ほんま心配性やわ。何かあったら言うって相談したいってこの前言うたばっかやで〜。」

信用してや〜。なんて、笑って言うけど絶対に目は合わせない。大倉は嘘つく時目は合わせないけど、本当、上手。こんな所上手くなったって自分が損するだけなのに。

「あ、大倉、この前は大事な話してる時に倒れてもうて、、ほんますまん。少し前から怠いなぁ〜とは思っててんけど、俺、ほんま普段風邪とかひかへんから、体調不良とかわからんくて、、せやから、俺の意識の低さが招いた結果やから。絶対気にせんで。したらあかんで。」

急に真面目な顔で大倉に向き合って、目を合わせてしっかりと伝える信ちゃん。

大倉を見ると、真剣な顔で聞いた後に少し目が泳ぎ、ふふっと笑い「大丈夫やで。」と一言。でも明らかに少し息が荒い。

「大倉？」声をかけるとフラッとベットに倒れた。

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