くまさん(病)@3

@148(錦) ページ50

収録中、少しずつ前屈みになる大倉に気づいたが、座っている距離があって全然支えることができない。
ゲストに触れられた大倉はハッとした顔でうまく誤魔化して姿勢を直したが、時折する咳払いと長い瞬きが気になる。

大丈夫か？と口パクで聞いても首を縦に振ることしかしないし。
今日の楽屋でも全然大倉を支えることができず、収録もあんなにカッコつけてみんなでサポートしよ。とか言ってたのに全然なんの役にも立ってない。

収録中どうにかゲストが大倉に意識がいかないように話題を出し続けた。

収録が終わって大倉とすばるくんが戯れながらセットを出て行くが、なんとなく大倉を支えながら歩いてるように見えて、急いで裏に行く。

「大倉、大丈夫か。」と大倉の腕を掴みながら少し見上げるすばるくんに大倉は一瞬ニコッと笑ったと思うと、そのまますばるくんと共に倒れ込む。

「大倉！」そのまま地面に寝かせると、苦しそうに息をする大倉。
(俺のせいだ。)1番に思った。俺があの時収録はやめようといっていたら。無理矢理にでも帰らせておけば。微熱の時点で休ませておけば。1番長くこの状態の大倉を見てきたのに。

「とりあえず医務室に。」
安がそう言って大倉を抱えようとするが、すかさず村上くんが変わってお姫様抱っこをして立ち上がり、「ご迷惑おかけしました！」とスタッフに挨拶しながら医務室に向かった。

向かってる間も、俺は何かできたのではないか。俺が率先して支えないと。と頭の中で言葉がぐるぐる回る。
大倉の意識が戻って歩くとかごめんとか言っている間もしばらくどうしてやったらいいのか、なにをしてやれたのか分からなくなったがとにかく、大倉に安心して欲しかった。

医務室について、大倉がすぐ寝かせるとその時に気づいた。勝手に涙が出てることに。でもその時にはもう何かの糸が切れてて、とにかく大倉に謝りたかった。
(こんな俺でごめん。)(こんな頼りにならないメンバーで、役に立たなくてごめん)
言いたいことが頭をぐるぐる回るが、結局何を喋ってるかは自分では分からないまま、すばるくんに無理矢理止められた。

「亮！りょうっ！落ち着け！！お前は悪くないやろ。」

そう言われても涙腺が壊れたみたいに涙はとまらないし、考えもまとまらなかった。

メンバーが何か言ってるのは聞こえるが、内容が全く入ってこないまますばるくんと横山くんに連れられて医務室を出た。

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