くまさん(病)@3

@140(大) ページ42

楽屋について、定位置に座ろうとした瞬間に感じた不安感。

(どうしよ、、)
何に対して不安かが分からないまま、座り方を変えるか？座る場所を変えるか、いや、それは絶対に心配される。でもこのまま収録は危険。

不安になればなるほど落ち着けなくなる。腕をさすってみたり、座り方を変えたり、どこか良さそうな位置はないかと辺りを見回す。

「大倉、どないしてん、」

信ちゃんの言葉に気づき、はっと顔をあげると、2人とも不思議そうに俺を見る。

その視線に耐えられなくてなんでもないと誤魔化すが、上手く笑えているか分からない。
説明しようったって、何がどう不安なのかも分からない。分からないものを説明する事ほど難しい事はない。

落ち着きがないと邪魔になると気付き、迷惑にならないように、そのまま時間が経つのをじっと待った。が、時間が経てば経つほど不安になり、動悸が激しくなる。
2人はみんなが揃うまでの時間に他の番組やドラマの台本、曲、情報収集に集中する。邪魔にならないように気づかれないように、落ち着く方法を色々考えているうちに結構な時間が経った。

時間が経っても全然不安が無くなることはなくて、むしろ増す一方だった。
下を向いてじっと耐える。ポタっと手元に何か垂れて気づいた大量の汗と手の震え。

(あかん、、流石に言わな)
そう思い恐る恐る顔を上げるが、イヤホンをしてじっと何かに集中する亮ちゃんと、珍しくだらっと座り目を閉じる村上さん。

そうや、今俺は仕事抑えてもらってて、全然疲れてもない。不安になる事本来ならないような立場なのに。
2人は多忙で合間ぬって家来てくれたりただでさえ迷惑かけてんのに、、どうにか自力で、、何か別の事考えて、、

そしてまた下を向いて目を瞑った。それからずっと別の何かを考えようと頭を働かせるが全くこの不安感が払拭される事は無く、何故か目を瞑っているのにグラグラと視界が歪む感覚さえ覚えてきた。

(どないしよ、気分悪なってきた、)
そう自覚するとだんだん身体の力が抜け、ふらっと横に倒れる感覚がした。と思ったら誰かに肩を掴まれ、
「大倉！どないした！」と大きな声で名前を呼ばれた。

「あっ、、は、お、、おはよう、、っ」
楽屋に入ってきた音も、入る時にしてくれてただろう挨拶も一切聞こえなかった事にびっくりして、思わず声もどもる。
この状態なのも一気にバレてしまうわけで、また言わなかった事もきっと怒られるだろう。と思いながら何か言わなきゃと考えた。

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