@112(横) ページ13
大倉の前に立つ。
本来なら最年長である俺が喋らなあかんとこなのは分かってるんやけど、実際、すばるの方が口が上手い。
はずなのだが、すばるも緊張で何を伝えたいのかめちゃくちゃ箇条書きに自分の気持ちを伝える。
大倉の顔をちらっと見ると、少し目を逸らしながら、口元は笑っているけど、かなり気まずそうな顔をしていた。
なんでお前が気まずなんねん。お前は堂々としとらんか。
もし、大倉側なら、絶対に俺はこう言った。
大倉は、言うなれば被害者なのに、こいつが負い目を感じる所は1ミリもない。
そんな事考えながらなぜか少しイライラしながら大倉を見る。
その時やっと、すばるの口から俺たちが一番言いたかった言葉の頭が出てきた。
そうや。俺は、大倉に謝らなあかん立場や、今だけは、少しの不満も持ってはいけない。
言い聞かせる様に、すばると言葉を合わせようと、すばるの言葉をよく聞く。
「とにかく!ほんまに、すま「ええよ!」
謝罪の言葉を言い切る前に止められた俺とすばるは下げかかった頭を瞬時にあげる。
何が起こったか全く理解が追いつかない。
ただ、大倉は、ニコニコしながら元気なのに、心配かけてごめんなさい。と、全員に向け頭を深々と下げて謝罪。
これを聞いてた亮もさすがに驚いた顔をしていて、「ちょっ、大倉!何言うてんの。」と大倉の肩を掴んで顔を覗き込む。
当の本人は、ん?と顔を上げ、まるでわんこの様な顔で亮を見つめた。
「何言うてんの、大倉。大倉何もしてへんやんか、謝る様な事。大倉がキツかったんは、事実やんか、、!!俺も、安も、村上くんも、、ずっと、横で、、っ、」
泣きそうな顔になって言葉に詰まる亮。
大倉は、そんな亮の手を握ってふふっと笑うと、ありがとう。とだけ言ってこっちに向き直る。
「もう、俺、大丈夫やから!仕事も絶対休まれへんし、ちゃんとやるから。やから、全然気にせんといて!」
そう言っていつもの定位置、安の隣に座った。
亮は眉間に皺を寄せて悔しそうに唇を噛み締め、安も、ヒナもかなり動揺した顔で眉間に皺を寄せていた。
俺と、すばるはどうすればいいのか、立ち尽くすことしかできずに、戸惑っていると、
「どうしたん?すばるくん、横山くん、今休んどかな今からバンドリハも、ダンスも立て続けやで〜」
何もなかったかのように優しく笑い、カバンの中に目を移した大倉の言葉で、とにかく、今は座ろう。とすばるも囁き、席に着いた。
そのままリハの時間になった。
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こう(プロフ) - 久々の更新ありがとうございました!作者様の無理のないように更新してください! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 2754d8d796 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - こうさん» コメント当時、お返事が出来ずに申し訳ありません。今もこの小説を見てくださっているかは分かりませんが、楽しみにしていましたという言葉が嬉しくてまだ続けさせていただいています。本当にありがとうございます。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - みどりむしさん» 体調の心配までしていただいたのに、当時返事が出来ずに申し訳ありません。この長すぎる小説を今も見てくださっているかは不明ですが、このコメントのお陰で続けて僭越ながら続けさせていただいています。本当にありがとうございます。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 和貴さん» コメントありがとうございます!このまま更新していいという言葉が多かったのでこのまま続けさせていただきます!無理のない範囲で更新頻度も少しではありますが上げていく予定です。今後もよろしくお願いします。和貴様もコロナにはお気をつけ下さい。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - ジェイさん» コメントありがとうございます!ご心配ありがとうございます!今までより元気な日も増えましたので、更新頻度も少しではありますが上げていく予定です!このまま更新していいという言葉が多かったので、このまま更新させていただきます!今後もよろしくお願いします! (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかか | 作成日時:2018年9月20日 10時