深淵の中で手を差し伸べて。:h【リヴァイ】 (ページ46)

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「聞きにくいんだけどさ、リヴァイ兵長とジゼルってどんな関係なんだ……？」

やけに響き渡った声。通常の声より小さいはずなのにみんながみんな気になりつつも触れられなかった話題に坊主頭のコニーが触れる。

馬鹿だと思いながらも内心コニーに拍手を送った兵達は口をとめ、ジゼルを中心に、ミカサ、アルミン、サシャ、コニー、ジャンのいるテーブルを凝視した。

「……あたしと、リヴァイ兵士長の関係？」

ジゼルは至って冷静に質問をききかえす。

「ああそれ私も気になってました！ジゼルと兵長は実はムフフの関係なんじゃないかって噂ありますもんね！」

「サシャ、有り得ない事言わないで。ジゼルにあのチビは似合わない。そしてジゼルは誰にも渡さない。」

パンを頬張るサシャを睨んだミカサは持っていたパンを握り潰した。険悪な表情でリヴァイを思い出しているのか手に持っていたナイフでパンを刺す。その光景をアルミンが青ざめた顔で見る中、ジャンは動きをとめたままジゼルを見る。

「なんでだよー、ミカサ。よく考えてみろって。兵長はよくジゼルと行動してるし、やけにジゼルの事を気にしてるようにも見える。噂通りムフフの関係でもおかしくねぇぞ。」

「コニーは馬鹿だから分からない。そんな事、絶対にない。」

「んなっ！？俺は馬鹿なのか？馬鹿だから分かんねえのか？え、俺って馬鹿だったのか？嘘だろ？な？｣

「ちょっと黙っててくださいよ、馬鹿コニー。ジゼルが困ってますよ。」

みんなの視線がジゼルに向く。髪を耳にかけたジゼルは困ったようにして目を伏せていた。長い睫毛が頬に影を作る。

案の定ジゼルは困っていた、それはもう非常に。だってこの場にはジャンがいる。ジャンがジゼルに告白した事は誰一人知らない。

特別な感情を抱いてくれていた人にこんな話を聞かせてしまうのはとても酷だと思う。あたしか逆の立場だったら悲しくて立ち直れない。

そしてもうひとつ、リヴァイ兵士長との関係は所謂恋仲……で間違いないと思う。

だけど兵士長という立場があるリヴァイと付き合っているという事を兵達に言うのはなんだか気が引けた。エルヴィンも言っていた通り士気に関わってしまうかもしれないからだ。

兵士達を纏める立場にいるリヴァイの事を考えると付き合っている、と告白するのは違う気がした。