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「お前、いつまで笑ってる。」
「ふふ、リヴァイ兵士長にも苦手なものはあったんだなぁって。」
「馬鹿言え。俺は人間だ。苦手なものくらいいくらでもある。」
「ふふ、すみません。何だか、リヴァイ兵士長って可愛いですよね。」
「……てめぇ、」
「っ！じょ、冗談です！」
「……。」
リヴァイの拳が握られる。それをみたジゼルが顔を真っ青にさせて首を横に振る。謝るなら最初から言うな、とリヴァイの目が訴えていた。だがこの空気が嫌いではなかった。
2人で他愛もない話をする、それがジゼルとリヴァイにとって何よりも安らぐ時間だった。安らぎを与えてくれる存在に身を委ね、いつまでもこの時間が続けばいい、と思わずにはいられなかった。
「…お前には、生きる希望があるか？」
不意に、リヴァイの手がジゼルの手と重なる。頬を紅潮させたジゼルだったがリヴァイの顔を覗き込めば端正な顔は真っ直ぐにジゼルを見下ろしていた。ジゼルは唐突な言葉の意味を理解するようにして頭を捻る。
いきなり過ぎたか、とリヴァイが珍しく反省をしているとジゼルはにこり、と優しい笑みで笑った。全てを受け入れ、包み込むような優しさが溢れ出した笑みにリヴァイの心はどこかとても軽くなる。
「生きる希望なら沢山あります。先ずは…調査兵団のみんな。そしてあたしの親代わりをしてくれたピクシスさん、幼馴染のエレン、ミカサ、アルミン。いつも優しくて色々なアドバイスをくれるエルヴィン団長、面白い話を沢山してくれるハンジさん、それと、新型立体機動装置を作成する事。それから、」
「……そんな山ほどあるのか。」
「…ふふ、沢山あります。それから、────沢山の不器用な優しさを与えてくれて、どんな時でもあたしを守ってくれる、一番近くにいてくれて、あたしの欲しい言葉を全てくれて、色々な事を教えてくれて、色々な世界を見せてくれた、リヴァイ兵士長。貴方はあたしの大切な生きる希望です。」
「っ…。」
「……あたしの大切な人、です。」
驚いたように目を見開くリヴァイにジゼルは微笑むだけ。まさか、こんな言葉が待ち受けているとは夢にも思わなかった。嬉しい、とはまた別の感情がリヴァイの胸を支配する。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
