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「…前にも一度髪の毛を切ろうと思った時があったんだけど、その時はリヴァイ兵士長に切らない方がいいって言われて、」
「…え？」
ジゼルの控えめな声にエレン、ミカサ、アルミンの声が重なる。3人は驚いたように目を見開かせ、はにかむように微笑むジゼルを凝視した。
リヴァイ兵士長が、ジゼルにそんな事を？駄目だ、全く想像がつかない。
「伸ばしてるとかじゃないんだけど、ね。あっ、でもある程度伸びたら切るつもりだよ。」
「え？え？リヴァイ兵長がジゼルにそんな事を言ってたのか？なんでだ？リヴァイ兵長はジゼルの髪が好きなのか？」
ツッコミどころ満載のエレンの言葉にアルミンは苦笑いを零す。訳が分からない、と首を傾げて頭の上にはてなマークを散りばめているエレンを横目に目付きを鋭くさせ、メラメラと炎をチラつかせているミカサが真顔で言葉を紡いだ。
「…あのクソチビ、いつの間に私のジゼルを口説いてるの、あのチビにジゼルは似合わない。不似合いだ。そしてあいつは暴力的、あいつは私のエレンを殴った。許さない。いつか然るべき報いを…、」
「ミ、ミカサ！落ち着いて！兵長がそんな事言うのなんてとても想像できないしつかないけどっ、だけど僕達が詮索する事じゃないよっ！」
「でもアルミン。私はあのチビを許す気はない。」
「まぁ、ね。確かに裁判の時…。あの時は僕もやりすぎだと思ったよ。でもリヴァイ兵長のおかげでこうしてエレンは今ここに居る。必要な演出だったんだよ。…まあそれでも気の毒だとは思うけど……。」
「……アルミンがそう言うのなら仕方ない。だけどチビにジゼルは渡さない。絶対。」
「はは、は…。」
そんな光景を見てクスクスと幸せそうに微笑みをうかべるジゼル。その笑みからはリヴァイ兵長への気持ちが溢れているような気がした。
予想外だといえば予想外。だけどそれ以上にリヴァイ兵長はどんな時でもジゼルを守り、手を差し伸べてきた。2人の描く未来がどうか幸せなものでありますように、と、そう願わずにはいられなかった。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
