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ガキの柔らかくて甘い香りの漂う金髪に指を通せば俺を受け入れるかのようにしてまとわりつく。この瞬間が、最高の贅沢だと思う。
「ジャン・キルシュタイン、か。」
「え？…ああ、さっきの人ですよね。はい、エレンと同期のジャンです。」
「振って良かったのか？」
「え？」
ああ、まただ。何故こんな
「確かに有難い事だとは思います。だけど、自分の気持ちに嘘はつきたくありません。それはきっとジャンを傷付けてしまうだろうし、そしてあたしも、傷つきますから。」
「…そうか。」
「はいっ。ところでリヴァイ兵士長はどうしてここに？」
「は？……ここは俺の自室の前だろうが。」
「！！！」
まさか気づかなかったのか、否、この反応は気づいていなかったのだろう。大方、ジャンはガキが部屋から出てきたところを捕まえたのだろうがガキと俺の部屋は隣同士。どっちにしろ必然とこの現場に遭遇していたことになる。
俺の部屋の前で大っぴらと告白している所を見た時は糞ガキに喧嘩でも売られているのだろうかと思ったがそうでもないらしい。
「……すみません、リヴァイ兵士長。」
「何を謝る必要がある？」
「お仕事中に、その、」
「…問題ない。気にするな。それよりお前は今から仕事か。」
「はい、恐らく新型立体機動装置が今週中に目標値に達するので暫くは徹夜で作業をしていくつもりです。」
「無理はするな、と言ってもその様子だと聞かなさそうだが。」
「ふふ、今踏ん張ればとりあえず非番は貰えますし。それにエルヴィン団長があんなにも期待してくれているんです、頑張らないと！」
「過労死で死んだら呪ってやればいい。」
「ふふ、毎朝エルヴィン団長の枕元に出るかもですよ。」
「おや、それは是非ともお願いしたい。毎朝ジゼルに起こされるのなら私は本望だ。」
ジゼルが口元を抑えて笑った途端、横からエルヴィンの声が聞こえて視線をそちらに向ける。ニコニコと相変わらず何を考えているのかわからない笑みを浮かべながらジゼルの言葉を鵜呑みにしたエルヴィンに眉根に皺を寄せた。
「エルヴィン団長っ！」
「…チッ、悪趣味野郎が。」
「悪趣味とは心外だな。ジゼル、驚かせてすまない。」
ははは、と声に出して笑ったエルヴィンにガキも釣られて笑った。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
