深淵の中で手を差し伸べて。:h【リヴァイ】 (ページ18)

今日:18 hit、昨日:35 hit、合計:21,133 hit

18-50 ページ18

「…ジャン。ジャンの事は好きだよ。」

「ほ、本当か？！」

その言葉にまた深く、眉間に皺が寄る。

「ジャンの気持ちは嬉しい。こんなあたしを好きだと言ってくれてありがとう。でも、異性としては見れない。……それにあたし、好きな人…居るから。」

「！」

顔を赤らめたガキを見たジャンは絶望的な顔をしながらも無駄に笑い去っていった。心做しかジャンの背中が小さく見える。だがそれとは裏腹に俺の心は少し、否、かなり軽くなっていた。一先ず、危機は免れた。

「へぇ…。ね、リヴァイ。ジゼルの好きな人って誰だろうねー？」

そして背後から聞こえてきた間延びた声に舌打ちを落とす。俺以外にこの現場に遭遇した人間はいたらしい。

「……おい、クソ眼鏡。何が言いたい？」

「ん～？いやぁ、ジゼルの好きな人って誰だろうってさぁ。気になるよねええ？ちょー気になるよねええ？てかいつの間にジゼルは恋に目覚めたんだろう～？」

「それは俺に対する嫌味か？」

「そんなわけないよ！ちょーっとリヴァイをからかおうとだなんて微塵も思ってないよ！！ジゼルの事を特別視してからリヴァイの雰囲気が丸くなっただなんて微塵も思ってない！！ジゼルの好きな人がここにいる目付きも口も悪いどチビリヴァイだなんて！！そんなの知らないよ！！知らない知らない！！……ぐええっ！？…あああああ！！！私の眼鏡ぇええ！！！」

「悪い、手が滑った。」

「酷い！酷いいいいいい！！絶対わざとだろ？！なあ？！絶対わざとだろおおおおお？！」

「まだ足りねぇか、なら、」

「ひいいいいいいい！すみませんんんんんん！！！！！」

俺の拳が見事顔面にヒットし、眼鏡のレンズが音を立てて割れる。何も見えない、と叫んでいるクソ眼鏡は巨人の如く気持ちの悪い走りをしながら俺の元から去っていった。

クソ眼鏡のでかい声に気がついたらしい廊下に突っ立ったままだったガキの金色が俺を捉え、目を丸くさせた。が次の瞬間これでもかというほどに顔を真っ赤にさせ口をパクパクとさせる。