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擦れ違う兵達の敬礼を手で制するのも面倒に感じ、そのまま素通りで通り過ぎていくが誰も俺の行動に対して何も言わない。その方が楽だ。余計な詮索は不要。
窓から零れ落ちる太陽の光に目を細める。まともに日光を当っていなかったからか、不思議と体が暖かくなり、すぐさま睡魔に襲われそうになる。
「あ、兵長！」
太陽を堪能していれば背後から聞こえた声に振り返る。そこにはエレンが居て。無駄にデカい目がこちらを見ていた。
「サボりか？」
「しっかりとしてますよっ！サボってません！」
「ほう…、そりゃあ良かった。サボりじゃねぇなら躾は必要なさそうだな。で、何の用だ。」
そう言えばエレンは言いにくそうに頬を描く。早く言え、とリヴァイの鋭い眼光に捉えられ背筋をピン、と伸ばしたエレンは敬礼をしながら大きな声で言葉を放つ。
「お、俺に訓練して頂けませんか？」
「………は？」
「あの、…巨人化だけではなく兵士としての力も身に付けたいんです！実際、俺はまだ巨人を討伐した事がありません…。」
「お前の討伐数は優に50は下らねぇと聞いていたが？」
「そ、それは巨人化した時の話ですよ！！立体機動装置の腕も刃の使い方もまだまだだと同期に言われるんです…、それが悔しくて…。だから兵長に訓練をして貰いたいんです！｣
ああ、なる程。そういう事か。頭を下げたエレンを冷めた目で見たリヴァイは宙を眺める。
「断る。」
「……！？」
そして短く一言。その一言でエレンは頭に何個もの石が乗せられたような錯覚に陥る。がくり、と効果音をつけたくなるくらいの落ち込み方をしたエレンにリヴァイは表情を変えず、
「…俺のは全て独学だ。お前に教えてやるほど立派なもんじゃねぇ。それに、」
「で、でも…ッ！」
「話を聞け、ガキ。」
「……はい。」
「それに俺は暇じゃねぇ。あの根暗野郎…、ミカサと言ったか。あいつにでも教えてもらえ。」
「……そんなぁ…。あいつは無駄に過保護だから教えてくれないんですよ……。」
「知ったことか。」
涙目で頭を上げたエレンを見たリヴァイはそのまま足を進める。後ろでエレンの声が聞こえたが全て無視した。
こんなくだらねぇ事で引き止めやがって、と悪態をつく。同期に頼めばいいものをわざわざ俺に言ってくる意味が分からない。エルヴィンには悪いが俺はそこまであいつの面倒を見てやるつもりは毛頭ない。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
