いや、私女子なんだけど。［４］

１７０話 ページ30

「…いつまであぁしてるつもりなの？」
東「今1時間経ったぞ」


何を話しているのか、ファミレスに入って料理も頼まずにドリンクバーを飲み続けて1時間経った。
私たちは既に飲めない域まで達している。

いつまで飲んでるのよ！

しかもコソコソ話してはクスクスたまに笑ってるし。
女子会を見ている気分になる。


「動かないねぇ」
東「…なぁ、こっち見てコソコソ言いだしたぞ」
「え。バレた？」


そう思い、ジッと2人の会話に聞き耳を立てる。
これバレてたら言い訳できないからね。ストーカー規制法ってのがあるから。


佐田「なぁ、あのカップル顔見えねえけどスタイル良くねえ？」
藤井「ほんとに。てかカップルなんて全部滅びればいいのに」
佐田「はぁ……何で俺ら彼女いねえんだろ」
藤井「あれだろ、セーヨクってやつのせいだ」


あいつらなんの話してんの。それ以前の問題だから。
まずお前ら、男子校言ってる時点で彼女作るの大変だからな。合コンでもしとけ。

溜まってんなぁ…と苦笑いの東。あんたも彼女いないからな。


「…てか、そろそろ話しかける？こうしてるのも飽きちゃったじゃない？」
東「んー、まだ少し…」


そう言う東にため息が漏れる。
いつまでこんなところであいつらを見張ってなきゃいけないんだ…。

この後ショッピングセンター行くからさ、と顔の前で申し訳なさそうに手を合わせられたらおしまいだ。断れない。


恐ろしいことに、時にこいつらは自分の顔面偏差値で暴力を振るってくる。クソが。

わかった、と小さく呟くと、ありがと、とでもいう風に笑う。
あぁ、顔が良いってそれだけで得する…。

チラ、とまたも顔が良い従兄弟同士を見ると、バチッと目が合った。

あ、やば。


すぐさま目を逸らしたが大丈夫だろうか。
ここでバレてしまったら、ショッピングセンターに行けなくなるんじゃないか。


佐田「……なぁ、あのカップルの女の方…」


やばいやばい。


佐田「めっちゃ俺好みの体型だわ」


体型かよ！！
目が合ったわけじゃ無かった。

でもお前最低だな、初対面の女の子そういう目で見んなよ。


私じゃなかったら今頃法廷で会いましょうだな、と思ってジュゴッと飲み物を吸い出す。

これウメェな、なんだこれ。


これ美味しい、と東に言うと、マジ？と言った後に驚きの行動に移った。

私の手を包む大きな手。
ストローが、形の整った唇に吸い込まれる。

え。


東「あ、ホントだ、美味」
「ぬああぁああぁああっ！！？！？？」
佐田「うぉっ…え」
藤井「え」


あ。

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