いや、私女子なんだけど。

４２話 ページ45

真本「いや、別に無いけど、A、怖がってるし」
「…はぁ？」


何こいつ。
私怖く無いんだけど。ねぇ。

平然と怖いものを否定する真本。

でもさっきから私気づいてるんだよね。
真本の足めっちゃ震えてるよ。


界「……それでは、真ちゃんはみっちゃんと観覧車に乗りんさいのぉ？わしゃAと乗るけぇ」
「私は良いよ？」
真本「……」


明らかに最悪、と言う表情で美原を見る真本。

少なくなってきた列に並び、順番を待つ。


足元にお気をつけください、と笑顔で言うスタッフさんの横をすり抜けて観覧車に乗る。


「……」
界「…」


えっと、なんで無言なんでしょうか。
稜くんってこんなに静かな人だったっけ。


何か話す内容はないか、と下を見下ろしてソワソワしていると、A、と名前を呼ばれる。


「ん？」
界「すまん、真ちゃんとみっちゃんが。何かしでかしたんじゃのぉ？さっきからずっとぎこちなかったけぇ」
「え？い、いや、いいよ！別に」


稜くんのせいじゃないじゃん、と言う。
すると、稜くんは上のワゴンを見て、怪しく笑った。


もうすぐ頂上だな、とか考えた私は、美原たちのいる上のワゴンを見る。

美原たちのワゴンが頂上に来た時。


界「……A、こっちを向きんさい」
「……え？」


稜くんの方を向くと、スッと近づく稜くん。

……はっ…。


「っ…！！？」
界「気にしんさんな。真ちゃんとみっちゃんをからかっとるだけじゃけぇ」
「美原と…真本…？」


チラッと上を見ると、バンバンと窓を叩く美原。
さっきから顔色が悪かった真本も、ジッとこっちを凝視している。

あの二人の反応は面白いのぉと完璧に楽しんでいる稜くん。


まぁ気持ちわからないでもない。


「そうだよねー…」


丁度、私たちのワゴンが頂上に。


界「A」
「ん？何、稜く……」


チュッと首筋に感じるリップ音と、少しの痛み。

理解できない私からゆっくり離れる稜くんの顔は、ニコニコと笑っている。



「……えっ」
界「Aもからかうと面白いんじゃのぉ」
「っ……！りょ、稜くん！！？」


イケメンはこんなことしたらダメなんだよ！？
いや、ブスはもっとダメだけどさ。


顔が熱い。真っ赤っかになってるんだろうな。


界「顔赤いよ？熱？」
「ッ…稜くんの、せいじゃん……」


そう言うと、驚いた顔をして稜くんまで顔を赤く染める。


夕焼けがすごく綺麗で、それが赤く染まった頬を隠してくれていた。


「あ、ところでおらべるって何？」
真本「叫んでる的な」

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