一松ｇｉｒｌってトリップできたっけ？【一松】

新春番外編『雪見』 ページ20

「今年は雪、見れなかったね」
「一松…いつもは雪見れてるの？」


いつもはね、と言って隣に座る一松は温かいココアを手渡してくれた。
うへ、推しから貰っちゃった…噛み締めて大事に飲もう。

一口飲むと、体の中心からあったかくなってくる。

あったかー…。


「でも見れないの残念だなぁ」
「なんで？」
「好きな人と見る雪、どこにいても、変わらず綺麗だから」


都会の雪は汚れてる？
そんなことないんじゃないかな

確かに物質とかは汚いかもしれないけど、私はそんなことより雪がメインになった風景を楽しみたいの
それが好きな人とだったら尚更綺麗に感じるでしょ？

そう言うと、一松は顔を逸らして馬鹿じゃないの、と呟いた。


照れてる、って思っていいのかな。


「でも、あんたと見る初雪も悪くないかもね」
「え、それって…」
「あ」


意味を聞こうとすると、鼻に当たる冷たい感覚。
触ってみると少し濡れていて。

こ、これってもしかしなくても…雪！？


「雪だー！！」
「あ、コラ十四松！！防寒具なしに外出ると風邪引くぞ！」


誰かが引いたらみんな引くんだから気を付けろ！と半ズボンで飛び出していった十四松を追いかけるチョロ松。
あのあときっと十四松は凍えて帰ってきて、誰が灯油を変えるのかって論争になるんだろう。

知ってる。


「よかった」
「なにが？」
「あんたと雪が見れて」


そう言った一松にドキッとする。
え、今のドキッてまるで…。


「雪だるま作ろーよ、Aちゃん！」
「ハニー、俺だ☆」


朝、積もってるかなーと思って窓を開けたら案の定雪景色。
車とかで踏まれてるところは汚いかもしれないけど、やっぱり誰の足跡も付いてない新雪が一番だよね！！

かっー！学生時代の血が騒ぐわ！
実はスキー同好会所属していたのだ。(ほとんど雪合戦しただけ)

腕がなるぜー。


「ぶふっ」
「A当たったー！！」
「あー！女の子に当てるなんてサイテー！」


顔に当たった柔らかい雪玉。
飛んできた方向はおそ松。



「やったなー」
「え、ちょ、なにそのかったいの！！ギュッてしすぎだからそれ！！」
「倍返し？」
「以上になってる！！」


もーなんでもいいや！
思いきり振りかぶって投げると、あの硬く硬く固めた硬球がおそ松の顔面に直撃した。

うん、おそ松はあーゆう風じゃなきゃ！！


「一松もあそぼーよー！」
「…気が向いたら」
「えー、一松兄さんもおいでよー」


弟二人に誘われて断れなくなった一松は雪合戦に参加した。
やっぱり好きな人たちと見たりする雪って、好きだなぁ。

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