FKの甘い日常-K-

きたやまの好きなとこ K4-Last- ページ8

「だってズキズキ痛むんでしょ」

「え、あ、うん…」

「無理させられないし、今日は良く寝て欲しいから別々に寝よう
冷やしてゆっくり寝るんだよ」


俺の頭にぽんぽんと手を乗せて立ち上がったふじがや



そんなこと言われるなんて




想定外過ぎて慌ててしまい、指からかぱっと包帯を外した





「うそだよ」





だいぶバツが悪いが、今日離れて寝るよりずっといい




「わかってたよ
エイプリルフールでしょ」



恥ずかしさのあまり顔に熱が集まってしまう

最初からバレていたなんて




「う…」

「罪のない嘘だったね」

「…ちぇ」


くすくす笑いながら、もう一度向かい合って座ったふじがやが、俺の肩を片手で引き寄せた


「別々に寝ようって言うのも嘘だよ
本当に怪我してたら北山のそばから離れないからね」

「…」



そうだ、ふじがやはそう言う男だ

ピンチの時には俺を絶対に1人にはしない

別々に寝ようなんて言うはずがなかったんだ


騙しているつもりが、騙されたふりをしていたんだ

俺の方がまんまとハメられてしまった


すると、俺の肩を抱いているのとは反対の、もう片方の人差し指で俺の顎を掬うふじがやの久々のキングの男前な行動に、照れ臭くも内心どきどきしてしまう



「こんな簡単に種明かししちゃうなんて、そんなに俺とくっついてたいの?」


「…ちがうし」


続く言葉に、素直じゃない俺はそう答えるが、


「ふふ、良かった」


「え？」


「だって今日きたやまの言うことは、全部うそでしょ？」




「………」


怪我をしたなんて言って、甘えたかったことも、

きっとこいつにはお見通しなんだろう


なんだか負けた気分で顔を背けたけれど、

こんなにも理解してくれて、全て許してくれていることが嬉しいのも事実で、

ゆっくりと顔が近付き口付けられるのを、その時本当は待っていた




キスが深くなるにつれ、なぜだか甘さを増していくふじがやの香りに鼻腔を擽られ、


この後の展開を期待して胸が膨らむのを感じていた





-きたやまの好きなとこ sideK-



end

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