FKの甘い日常-K-

Noel K2 ページ18

以前は約束なんかしないで毎日のようにふじがやの家に入り浸っていたのだが、

仕事の拠点が変わり、なかなかそうも行かなくなった



緊張しながら入口でふじがやの部屋の番号を押す









「え？きたやま」



玄関まで出迎え来てくれたふじがや

かちゃりとドアが開き、丸くした目で一瞬俺を見て、すぐに家に入れてくれる











「びっくりした

…今日は会えないと思ってた」



「…」





ほんの少ししか離れてなかったのに、こんなにも懐かしいふじがや


いつもよりもまだぎこちなく、距離を保たれているのが切なくて、どんな顔をしているのか自分でも分からなくて、帽子もマフラーも外せずいると、




「…なんだか久しぶりだね



でもどうして」









俺の頭の上に乗っていた帽子をそっと外してくれた






伸びて来た腕に包まれるのかと思ったら、俺の顔を覗き込むだけのふじがやに、いよいよ悲しくなった





もう、余裕なんか1ミリもない








「……に、きた……」




「ん？」



















「…キス




しに、来た……」




　

丸くした目を、さらに大きく見開いたふじがや

















「…して、くんねーの？」






俺にとってみれば、一世一代のストレートな告白







言いながら、ぎゅうとふじがやの身体にしがみつき胸に顔を埋めた










「………ごめん」




やっと抱きしめ返してくれた、そのセーターの背中を握りしめていつものようにすん、と空気を吸い込む


するとふじがやの匂いが胸いっぱいに広がって、泣きたくなってしまう





どうして、なんて言うなよ


ごめん、なんて言うなよ












俺たちは変わらないって言ってくれたじゃん















会えて嬉しいって言ってよ







心配にさせないでよ

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