衣装 ページ19
その後司くんと一緒に教室へと登校し、
いつも通り授業を受けた。
その日の昼休みは手芸部の部室に篭って衣装を進めた。
月永先輩の霊感から影響を受けたのか衣装製作が驚く程進んだ。
「何かいい事でもあったん？」
と、影片先輩が唐突に尋ねてきた。意図が分からず首を傾げると
「鼻歌歌ってはったからなぁ」
と指摘された。言われるまで気が付かなかった。
「え、本当ですか…？！お恥ずかしいです」
「嘘ついてもなんもならんからね。楽しそうなんはいいことやと思うで？」
自分で顔を触っても少し表情筋が動いている…
頬を叩いて喝を入れると影片先輩は少し驚いた顔をした。
「しっかりしないと、と思いまして…」
なるほどなぁ、と言ったあと少し考えて聞かれた言葉に時が止まるような感覚を覚えた。
「その衣装に取り掛かった時辺りから嬉しそうやけど…大切な人のなん？」
と。
言われて手元を見ればそれは晃牙の物であった。
「いえ、特にそういうわけでは無いですよ。…ああ、でも」
「でも？」
「『約束』を果たせる日が来たのが嬉しいのかも知れません」
という、私の意味のわからない言葉に一瞬止まり、それでも聞かないでくれたのか何かが伝わったのか微笑んで
「よかったなぁ」
と言ってくれたのだった。
ある程度出来上がったあたりで作る手をやめてまた教室へと戻った。
今回はサイズを考えなくていいので週末に向けて調整の時間を取らなくていいというのが救いだった。飾りだけに専念できる。
メールが来ていたので確認すると朔間先輩から
今日の放課後に練習をするという連絡だった。
緊張するけどRa*bitsとはまた違った雰囲気なのだろうなと思うと楽しみであった。
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作者名：ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時：2018年2月12日 13時
