* ページ10
*
私は彼が傘を持っていないことに気づく。
『あの、よかったら一緒に入りませんか?』
深澤「んーん、この雨なら大丈夫(笑)」
彼はそう言って歩き出す。
私も彼のとなりを傘を差しながら歩く。
『私、雨女なんですよ。いつも大事な日に限って雨が降ったりして』
深澤「そうなんだ」
『でも、雨は嫌いじゃないんです。雨の日は静かなので、歩きながら考え事をしたいときにちょうどよくて』
深澤「へえ」
『あ、つまんないですよね、こんな話…』
深澤「いや、いいと思うよ。雨が好きだから、かわいい傘を持ってるんだなって」
私の傘は透き通ったラベンダーカラーで、たまたま入った雑貨屋さんで一目惚れして買ったものだ。
『ありがとうございます(笑)』
雨が強くなってくる。
これじゃさすがに、深澤さんがびしょびしょになってしまう。
『あの───────────』
そのとき、彼が私の傘を持つ手を握った。
深澤「ごめん、やっぱ入れて」
『あ、はい!もちろんです!』
深澤「ありがと(笑)」
彼は傘の下に入る。
深澤「俺さ、あんまり傘持たないんだよね」
『イギリス人みたいですね(笑)』
深澤「そう、俺イギリスの血が入ってるからさ(笑)」
『…』
深澤「冗談だよ!ツッコめよ!(笑)」
『一瞬、本当なのか考えちゃいました(笑)』
深澤「はは、真面目だなあ(笑)」
そう言って笑った彼の横顔が、とても素敵で。
深澤「ん?」
『あ、いえ』
雨が降る中、私の胸の奥で小さな音が鳴った。
*
1013人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayane | 作成日時:2021年8月19日 9時