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私は我慢ができなくなって、涙が溢れた。
『私…っ周りの期待に答えたくて…必死で…っ』
深澤「うん」
『すごく頑張ったんですけど、本当は、あんまり納得のいく企画を作れなくて…っ』
深澤「そっか」
『選ばれた案の方が何倍も良くて、そもそも私なんかの案が選ばれるわけないって思ってたんです…っ』
深澤「社会ってさぁ、すげえ厳しいときがあるよな」
彼は外の景色を眺めながら言う。
深澤「一生懸命頑張っても評価されなかったり、ダメ出しされたり、俺より努力してない奴が褒められたり」
『深澤さんも、そんなことあるんですか…?』
深澤「もちろん、むしろ日常!(笑)」
『そうなんですね…』
深澤「理不尽だよなぁって思ってても、どこかで自分を見てくれている人もいて、救われるときもある」
『…』
深澤「だから、この仕事が好きで、頑張ろうって思える(笑)」
私は顔を上げて、彼を見る。
深澤「だから今回の努力もきっと無駄じゃない」
このとき、私は彼が多くの人に慕われる理由がわかった。
私はぐいっと涙を拭って、すくっと立ち上がる。
『深澤さんのおかげで元気出ました。ありがとうございます』
深澤「俺はただここにサボりにきただけだよ(笑)」
優しく笑う彼を見て、胸の奥が熱くなる。
深澤「仕事に戻れそう?」
『はいっ(笑)』
そのとき、誰かの気配を感じた。
『…今、そこに誰かいませんでした?』
深澤「いや、いないんじゃないか?」
『…ですよね』
気のせいか。
渡辺「…」
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作者名:ayane | 作成日時:2021年8月19日 9時