透明なラベンダー。 (ページ13)

今日:14 hit、昨日:9 hit、合計:205,670 hit

＊ページ13

＊

深澤「お前どうしたんだよそれ！(笑)」

デスクに戻ると、ふっかが俺を指をさして笑う。

俺のスーツはホコリを被った資料を大量に浴び、あちこち汚れている。

渡辺「転んだ」

深澤「どこでどう転んだらそうなるんだよ！(笑)」

渡辺「うるせーな」

少し離れたデスクのAが心配そうに俺を見ている。

目が合ったが、俺は目を逸らした。

・

・

・

・

渡辺「そろそろ帰るか…」

パソコンを閉じ、オフィスを出る。

すると、Aが立っていた。

渡辺「何やってんだそこで」

『渡辺さん、やっぱり私、クリーニング代払います！』

渡辺「だから、大丈夫だって言ってんだろ」

『それじゃ私の気持ちがおさまりません！』

渡辺「…ったく」

俺は自販機の前に立つ。

渡辺「コーヒー奢れ。それでクリーニング代はチャラってことでいいだろ」

『渡辺さん…』

彼女は缶コーヒーを買い、俺に渡す。

渡辺「サンキュ」

その場で蓋を開けて飲む俺を彼女は見ている。

渡辺「なんだよ」

『渡辺さんって、いい人ですね(笑)』

渡辺「…言っておくが、俺は優しくもねーし甘やかしたりもしない」

コーヒーを飲み干し、缶をゴミ箱に入れる。

渡辺「次あんな行動したら許さねーぞ」

『はい(笑)』

渡辺「あ、貸しは貸しだからな。ちゃんと返してもらうぞ」

『もちろんです！(笑)』

彼女は元気に答える。

…やっぱりこいつ、変なやつ。

＊