となりの翔太くん。 (ページ6)

今日:20 hit、昨日:16 hit、合計:569,178 hit

記憶ページ6

＊

出会いは、ありきたりだった。

大学2年のとき、友達に誘われて行った飲み会に、その人はいた。

同じ大学で、歳はひとつ上。

学部も学科も違ったけど、たまにキャンパス内で見かけたことがあった。

飲み会は盛り上がっていたけど、私はあまり楽しめなくて。

最後までいることもなく、途中で帰ろうとした。

店を出るとき、たまたま彼も抜けていた。

話しながら駅まで一緒に歩いた。

少し怖い人かもって見た目だけで思っていたけど、イメージとは違っていた。

話しやすくて、よく笑う人だった。

駅に着いて別れるとき、私はほぼ無意識に彼に「また会えますか」と言った。

すると彼は、「今度は2人で飲もうぜ」と言った。

告白はどちらからだっけ。

たぶん、私だったかな。

彼はふたつ返事で「いいよ」と言って、付き合うようになった。

付き合っているときの彼は、意地悪だけど優しくて。

かっこよくて、面白くて、虫が苦手で。

一緒にいるだけで幸せで。

彼のことが大好きだった。

ずっとこうしていたいって、何度も、何度も思った。

でも、そんな幸せは続かなかった。

彼は自由で、真面目な私とは合わないところがあった。

飲み会に呼ばれればデートの途中でもそっちを優先していたし、女友達もたくさんいた。

束縛を嫌う彼に私は何も言えなくて、我慢するしかなかった。

＊

評価100票超えありがとうございます！！

＊